【要点整理】改正入管法案の概要

  • 2018.11.13 Tuesday
  • 13:58

今月2日に改正入管法が国会に提出されましたが、委員会審議を経て、本日(13日)、衆院本会議で審議入りします。

実際の改正案は既に公表されています。

そこで、以下、改正入管法のポイントを整理するとともに、簡単な解説(コメント)を添えたいと思います。
注:改正案はまだ国会で審議中で、成立したわけではないため、下記はあくまで現時点(仮)の見通しである点に留意ください。

 

1、目的に関する規定の整備

入管法の目的(1条)として、「本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図ること」が追加されました。現行法は「本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする」とあるのみなので、「在留」に言及するものではありませんが、在留外国人が256万人を突破した今、「出入国」のみならず、「在留」も焦点化するのは自然な流れですし、実態にも沿うと思われます。


 

2、出入国在留管理庁長官の権限に関する規定の整備

現在の法務局入国管理局から、外局として独立する形で「出入国在留管理庁」が新たに設置されます(改正法務省設置法)。それに伴い、同庁の長として、出入国在留管理庁長官という官職が誕生し、主任審査官の指定等の職務を担うことになります。
あらゆる条文の主語(主体)が法務大臣から出入国在留管理庁長官に変更されていることからも、与えられる権限の大きさをうかがい知ることができます。

 

3、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針等に関する規定の整備
本改正により、新たに「特定技能」ビザが生まれるのですが、政府は、同ビザに係る制度の適正な運用を図るため、基本方針を定めなければならないとされています。基本方針の案は法務大臣が作成し、閣議決定を経て公表されます。
また、法務大臣は、上記基本方針にのっとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野を所管する関係行政機関の長並びに国家公安委員会、外務大臣及び厚生労働大臣と共同して、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以 下「分野別運用方針」という。)を定めなければならない。つまり、基本と分野別という二重構造で方針が作成されるようです。

 

4、特定技能雇用契約等に関する規定の整備
特定技能ビザを取得しようとする外国人が日本の企業等との間に結ぶ雇用契約については、法務省令で定める基準に適合する必要があります。具体的には、下記事項が適切に定められている必要があります。
⑴特定技能雇用契約に基づいて当該外国人が行う当該活動の内容及びこれに対する報酬その他の雇 用関係に関する事項
⑵⑴に掲げるもののほか、特定技能雇用契約の期間が満了した外国人の出国を確保するための措置 その他当該外国人の適正な在留に資するために必要な事項
その他、雇用者(会社等)は特定技能外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(「一号特定技能外国人支援計画」)を作成する必要があり、その計画の適正な実施や、雇用契約の適正な履行が確保できるよう、法務省令で定める基準に適合しなければならないとされています。

 

5、上陸の手続きに関する規定の整備
特定技能ビザの上陸の申請(在留資格認定証明書交付申請)にあたっては、上記「一号特定技能外国人支援計画」が所定の規定の適合するものであることも審査しなければならない旨も追加されました。
★ここで注目すべきは、受け入れ停止についても規定されていることです。特定産業分野(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に規定する特定産業分野をいう。以下同じ。)を所管する関係行政機関の長は、当該特定産業分野に係る分野別運用方針に基づき、当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対し、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとることを求めるものとし、法務大臣は、この求めがあったときは、分野別運用方針に基づき、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとるものとするとされています。また、法務大臣は交付の再開措置もとることができます。

 

6、届出に関する規定の整備
特定技能ビザを有する外国人は、契約の相手方である本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結が生じたときは、当該事由が生じた日から十四日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければなりません。
★ここで注目すべきは、特定技能所属機関(つまり、雇用者)について、届出義務が強化されている点です。具体的には下記事項について長官に対して届け出なければなりません。
⑴特定技能雇用契約の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき。
⑵一号特定技能外国人支援計画の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき。
⑶四の3の契約の締結若しくは変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、又は当該契約が終了したとき。
⑷⑴から⑶までに掲げるもののほか、法務省令で定める場合に該当するとき。
上記のほか、下記事項も届出義務とされています(一般的な就労ビザとの大きな違いです!)
⑴受け入れている特定技能外国人(特定技能の在留資格をもって本邦に在留する外国人をいう。以下同じ。)の氏名及びその活動の内容その他の法務省令で定める事項
⑵適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況(契約により九の登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)
⑶⑴及び⑵に掲げるもののほか、特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項
★この届出義務に違反した場合は、罰則規定(71条の4第1号)が適用されるため注意が必要です。

 

7、特定技能所属機関に対する指導及び助言等に関する規定の整備
出入国在留管理庁長官は、所定の事項を確保するために必要があると認めるときは、特定技能所属機関に対し、指導及び助言をすることができるとされています。あわせて、必要な限度において報告や書類の提出・出頭を求めることができ、入国審査官等に質問や立ち入り検査をさせることができます。その結果、問題があると認められる場合には、改善命令がなされます。

 

8、特定技能所属機関による一号特定技能外国人支援等に関する規定の整備
特定技能所属機関は、適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、一号特定技能外国人支援を行わなければなりません。

 

9、登録支援機関に関する規定の整備
契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」 という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます。
登録を受けた者(登録支援機関)は、委託に係る適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、支援業務を行わなければならず、法務省令で定めるところにより、支援業務の実施状況その他法務省令で定める事項を出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません。その他、登録の取消しや届出等について規定されています。

 

10、在留資格の変更に関する規定の整備
特定技能の在留資格を有する者については、在留資格の変更に、法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野の変更を含むものとされています。
★つまり、現行法上の「高度専門職1号」と同様に、転職の際にも変更申請が必要ということです。

 

11、関係行政機関との関係に関する規定の整備
出入国在留管理庁長官又は入国者収容所長等は、出入国及び在留の管理並びに難民の認定に関する事務の遂行に当たり、当該事務の遂行が他の行政機関の事務に関連する場合には、関係行政機関と情 報交換を行うことにより緊密に連絡し、及び協力して行うものとされています。

 

12、罰則等の整備
上記6で一部言及したとおり、この法律の規定に違反した者について、新たな罰則規定等が設けられます。

 

13、別表第一の整備
新たに「特定技能」の項を加え、特定技能の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動として下記活動が規定されます。
【一号】
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野 (人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産 業上の分野として法務省令で定めるものをいう。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
【二号】
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動
それに伴い、「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動にも、別表第一の二の表の「特定技能」の項の下欄第二号の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動が追加されます。

 

14、その他所要の改正を行うこと
表記の調整等が行われています。

 

以上、概要を整理してご紹介しました。

上記の規定のされ方からわかるように、方針や要件等、本質的部分に関しては、基本的に法務省令に委任されているため、法案だけだと具体的なイメージがわかないのが率直なところです。

今回の法改正の大きな問題のひとつは、まさにこういった規定のされ方にあるのですが、来年4月の施行を目指すのであれば、今国会でまずは大枠だけでも決めておきたいのでしょう。

今国会の会期は12月10日までです。果たして上記内容で可決成立するのか、審議の行方を見守るほかありません。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】社会保険料と外国人に関する新方針

  • 2018.11.09 Friday
  • 14:15

来年4月に予定されている新在留資格のスタートに向けて、法務省では各方面からの調整が進められています。

最新の報道によると、社会保険料を滞納している外国人については、ビザの更新を認めない(場合によっては在留資格を取り消す)とする方針が法務省で検討されているようです。
具体的には指針(ガイドライン)を改正し、悪質な社会保険料の不払いなどがあれば在留を認めないようにする方向で調整されています。
違いがわかるように、現在(2018年11月9日現在)の指針(在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(改正))を以下に引用します。

 

1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
申請人である外国人が行おうとする活動が,入管法別表第一に掲げる在留資格に
ついては同表の下欄に掲げる活動,入管法別表第二に掲げる在留資格については同
表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。

2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
法務省令で定める上陸許可基準は,外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準
ですが,入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動
を行おうとする者については,在留資格変更及び在留期間更新に当たっても,原則
として上陸許可基準に適合していることが求められます。
また,在留資格「特定活動」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一
項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(特
定活動告示)に該当するとして,在留資格「定住者」については「出入国管理及び
難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に
掲げる地位を定める件」(定住者告示)に該当するとして,上陸を許可され在留して
いる場合は,原則として引き続き同告示に定める要件に該当することを要します。
ただし,申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件については,年齢を重ね
たり,扶養を受ける状況が消滅する等,我が国入国後の事情の変更により,適合し
なくなることがありますが,このことにより直ちに在留期間更新が不許可となるも
のではありません。

3 素行が不良でないこと
素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要
素として評価され,具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行
為,不法就労をあっせんするなど出入国管理行政上看過することのできない行為を
行った場合は,素行が不良であると判断されることとなります。

4 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
申請人の生活状況として,日常生活において公共の負担となっておらず,かつ,
その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
(世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが,仮に公共の負担となっ
ている場合であっても,在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には,そ
の理由を十分勘案して判断することとなります。

5 雇用・労働条件が適正であること
我が国で就労している(しようとする)場合には,アルバイトを含めその雇用・
労働条件が,労働関係法規に適合していることが必要です。
なお,労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常,
申請人である外国人に責はないため,この点を十分に勘案して判断することとなり
ます。

6 納税義務を履行していること
納税の義務がある場合には,当該納税義務を履行していることが求められ,納税
義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば,納税義
務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。
なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も,
悪質なものについては同様に取り扱います。
7 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は,入管法第
19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16に規定す
る在留カードの記載事項に係る届出,在留カードの有効期間更新申請,紛失等によ
る在留カードの再交付申請,在留カードの返納,所属機関等に関する届出などの義
務を履行していることが必要です。
<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人で,次の 銑
のいずれにも該当しない人
 孱碍遏廾焚爾虜瀘唄間が決定された人
◆崔惨滞在」の在留資格が決定された人
「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
 銑の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
特別永住者

 

上記「」に記載があるように、現時点では、納税義務を履行していないとしても、それは「消極的な要素として評価」されるだけであって、必ずしも更新を認めない、あるいは在留資格を取り消すとされているわけではありません。
これを、今後は厳格化して外国人に社会保険の適正な運用を確保することが推進されることになります。
どれくらいの滞納なら更新不許可あるいは取消しの対象になるのか、このあたりは今後詰めていくということですが、与野党内から激しい反発がある今回の法改正の審議状況を踏まえると、反対派を納得させるための一つの布石のように思えてなりません。
いずれにせよ、当事者となる外国人の方にとっては極めて重要な情報ですので、改めてご自身の公的義務履行状況を見直しておくことをお勧めします。

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】新在留資格の受け入れ業種(コンビ二業)

  • 2018.11.06 Tuesday
  • 17:58

 

前回のエントリーでは、新在留資格において検討されている具体的な受け入れ職種についてご案内しました。

 

日本で働く外国人は現在130万人にのぼるといわれており、

日本で暮らす外国人の総数(約256万人)のうちおよそ半数を占めるわけですが、

“日本で働く外国人”と聞いて思い浮かべる職種のひとつに、

コンビ二エンスストア』の外国人アルバイトを挙げられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

特に首都圏では、ここ数年で本当に多くなりましたね。

 

そういった背景からもわかるように、コンビニ業界こそ、外国人従業員を求めている業界に挙げられるはずです。

ところが、先般公表された14種類の業種に、コンビ二業は入っていません。

 

数ヶ月前までは、コンビニ業界も受け入れの要望をしていたようですが、なぜ取り込まれなかったのでしょうか?

 

政府は、その理由を「接客」に求めています。

わたしたちが普通にイメージできるように、コンビ二の仕事は大半が来店した客へ販売等を行う接客です。

このような「接客」に焦点化した仕事だと、一定の技術や技能を求める『特定活動』ビザの趣旨に照らして、適合させるのが難しいというのが、その理由のようです。

 

ところが、同じく「接客」要素が多分に含まれる『外食』産業については、受け入れ検討業種に含まれています。

この違いはいったいなんのか。

 

その答え(答弁)はいまだ明確ではありません。

来年4月の施行はほぼ確実とも言われている中、あまりに不透明な要素が多いのが今回の法改正の特徴といえるでしょう。

 

今後も法案審議の動向を注視する必要があります。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】新在留資格の受け入れ業種

  • 2018.11.01 Thursday
  • 18:55

 

ここ最近話題にあがっている入管法改正・新在留資格の創設について、

現在のところ、14種類の受け入れ業種が検討されています。

(当初は5分野が想定されていたのですが、ここぞとばかりに一気に増えた印象です)

 

報道によると、14種類の内訳は以下のとおりです。

 


 

1、介護

2、ビルクリーニング

3、素形材産業

4、産業機械製造

5、電気・電子情報関連

6、建設

7、造船・舶用工業

8、自動車整備

9、航空

10、宿泊

11、農業

12、漁業

13、飲食料品製造

14、 外食

 


 

改正法案については、自民党の法務部会で反対意見も噴出したようですが、先日なんとか承認を得たようです。

法案は明日(11月2日)にも閣議決定し、臨時国会へ提出される見通しです。

 

正式な受け入れ業種の内訳や要件等については、法案成立後に省令(法務省令)で定めるとのことです。

省令は法律ではないため、国会での審議を経ることなく行政ベースで柔軟に決定することができます。

その反面、受け入れ業種は不明確のままで、ひとまず「大枠」だけ法律で決められることになります。

そのため、野党からはこのような姿勢に批判の声も出ているようです。

 

省令となると、前回のエントリーでふれたようにパブコメにあがることになります。

現在の進捗ですと、早くて年末、遅くとも1月末にはパブコメに具体的な要件等があがるはずです。

 

まずは法案の確認が第一ですが、パブコメからも目が離せなさそうです。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】特定活動告示改正と入管法改正議論の現状

  • 2018.10.23 Tuesday
  • 15:55

 

法務省入国管理局は、特定活動告示等の一部改正案に関するパブリックコメントを2018年10月19日付けで公示しました。

特定活動』ビザとは「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動(入管法別表第一の五)を行うことができる在留資格をいい、2018年10月23日現在で、43種類の活動が法務省告示(特定活動告示)により規定されています。
直近では、今年6月13日の改正により新たに43号(いわゆる日系4世の受け入れ)が追加されました。
このように、『特定活動』ビザは告示により新たに活動内容を追加することができるため、入管法(別表)を改正する必要がありません。
ただ、そうはいっても行政庁の独断で改正することは適切ではないことから、行政運営の公正さの確保と透明性の向上等を目的として、事前に広く一般から意見を募り、その意見を考慮するための制度があります。それが、パブリックコメント制度(意見公募手続制度)です。
今回公示された改正案は、経済産業大臣が認定した外国人起業活動管理支援計画に基づき外国人起業促進実施団体から起業準備活動に関する計画(起業準備活動計画)の認定を受けた特定外国人起業家及びその家族が『特定活動』の在留資格取得を可能とするものです。
同在留資格で認められる活動は、特定外国人起業家が(一年を超えない期間で)本邦において事業の経営を開始するために必要な準備行為を行う活動及び当該活動に附随して行う報酬を受ける活動又は事業の経営を開始した後引き続き当該事業の経営を行う活動とされています。
また、その家族については特定外国人起業家の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動(従前の『家族滞在』ビザと同義)です。
政府は、「未来投資戦略2018」(平成30年6月15日閣議決定)において、外国人起業家の更なる受入れ拡大に向けて、起業に向けた準備のため最長1年間の在留期間を付与する等の入国管理制度上の措置を講ずるとともに、起業活動実施状況の確認相談体制の構築等の管理・支援施策を実施するなど、起業活動を支援する「スタートアップ・プログラム(仮称)」を本年中に開始することとしています。
そのため、今回の改正は、上記方針を受けたもののようです。
また、今回の告示改正に伴い、特定活動代理人告示及び入管法施行規則(別記様式)も改正される見通しです。
※そのため、特定活動用の各種申請書(U(その他))も近々変更される予定です。
なお、意見提出期間は、公示の日から起算して30日以上とすることが法律で規定されているため、今回のパブリックコメントの意見・情報受付締切日 は2018年11月18日までとされており、告示の公布日・施行日はともに2018年12月下旬の予定となっています。

 

一方で、かねてより話題となっている新在留資格「特定技能1号・2号」の創設のための入管法改正案については、議論が難航しているようです

自民党は昨日(22日)に党本部で法務部会を開催し、入管法改正案について議論を開始したのですが、報道によると、党内をはじめ公明党からも慎重論が相次いでいるとのことです。
政府はもともと明日(24日)召集の臨時国会で改正案を成立させ、来年4月からの新制度スタートを目指していましたが、ここに来て先行きが不透明となってきました。
日本の在留管理行政上極めて重要な転換期となる法案である以上、慎重な議論のもとで進められるべきものと考えますが、制度導入の遅れが市場にもたらす影響も懸念されます。
召集を明日に控え、早くも延長論が浮上する今期の臨時国会ですが、今後の動向から目が離せなさそうです。

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】入管法改正案の骨子が公表されました

  • 2018.10.17 Wednesday
  • 19:21

 

政府は12日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議を首相官邸で開催し、

同会議で配布された資料「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』の一部を改正する法律案」の骨子等が公表されました。

 

この骨子が条文に反映された法案が、近日召集される臨時国会に提出される見通しです。

 

新制度の概要がかなり具体的に浮き彫りになってきました。

主なポイントを下記にご紹介します(以下、公表資料の一部抜粋と筆者のコメント)

 


 

1 在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設 

(1) 特定技能1号:不足する人材の確保を図るべき産業上の
分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要
する業務に従事する外国人向けの在留資格
(2) 特定技能2号:同分野に属する熟練した技能を要する業
務に従事する外国人向けの在留資格

→業所管省庁が定める一定の試験に合格すること等で、

1号から2号に移行できるとされています。


2 受入れのプロセス等に関する規定の整備
(1) 分野横断的な方針を明らかにするための「基本方針」(閣議決定)に関する規定
(2) 受入れ分野ごとの方針を明らかにするための「分野別運用方針」に関する規定
(3) 具体的な分野名等を法務省令で定めるための規定
(4) 特定技能外国人が入国する際や受入れ機関等を変更する際に審査を経る旨の規定
(5) 受入れの一時停止が必要となった場合の規定

→具体的な方針は明らかではありませんが、詳細は法務省令に委任されるようなので、

法務省令の改正にも注意が必要のようです。


3 外国人に対する支援に関する規定の整備

(1) 受入れ機関に対し、支援計画を作成し、支援計画に基づいて、特定技能1号外国人に対する日常生活上、職業生活上又は社会生活上の支援を実施することを求める。
(2) 支援計画は、所要の基準に適合することを求める。

→受入れ機関(つまり、雇用主)が果たすべき義務や、負うべき責任も大きいようです。

この構造(制度設計)は、技能実習制度にも通ずるように思われます。

4 受入れ機関に関する規定の整備
(1) 特定技能外国人の報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、特定技能外国人と受入れ機関との間の雇用契約は、所要の基準に適合することを求める。
(2) 仝柩儼戚鵑療正な履行や∋抉膩弉茲療正な実施が確保されるための所要の基準に適合することを求める。
→報酬額については、従前の就労資格と同様の基準が設けられるようです。
一方で、契約形態が原則として「直接雇用」に限定される点や、契約内容に所要の基準が設けられる点が特徴です。

5 登録支援機関に関する規定の整備
(1) 受入れ機関は、特定技能1号外国人に対する支援を登録支援機関に委託すれば、4⑵△隆霆爐謀合するものとみなされる。
(2) 委託を受けて特定技能1号外国人に対する支援を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができる。
(3) その他登録に関する諸規定
→登録支援機関という名の、新たな機関も登場します。

登録のための詳細は未定ですが、既存の機関(士業や入管協会、組合等)が何らかの形で関与することも予想されます。


6 届出、指導・助言、報告等に関する規定の整備
(1) 外国人、受入れ機関及び登録支援機関による出入国在留管理庁長官に対する届出規定
(2) 出入国在留管理庁長官による受入れ機関及び登録支援機関に対する指導・助言規定、報告徴収規定等
(3) 出入国在留管理庁長官による受入れ機関に対する改善命令規定

→就労環境の適正管理や技能実習制度の問題点等を鑑みた結果でしょうか、

新たに誕生する「出入国在留管理庁長官」の管理監督機能も強化されるようです。

7 特定技能2号外国人の配偶者及び子に対し在留資格を付与することを可能とする規定の整備
8 その他関連する手続・罰則等の整備
→当初は家族の帯同は認めない方向で調整されていたようですが、2号を設けることで、実質永住も視野に入りうる制度設計に変更されたようです。

特に罰則規定については法案の条文で注意深く確認することが必要でしょう。

 

 


 

その他、既にご案内のとおり、入国管理局が「出入国在留管理庁」(外局)に昇格する点や、

それに連動して地方入管の名称も「●●地方出入国在留管理局」に変更される見通しです。

 

それには、入管法令のみならず、根拠法令である法務省設置法及び施行規則の改正も必要となるため、

細部調整含めてかなり大掛かりな改正になりそうです。

 

ところで、名称まで変わるとなると、各種看板や案内文書等もリニューアルしなければいけませんね。

余計な心配ですが、当局の仕事も増えることになりそうです。

(もちろん、私たちも変更に対応しないといけませんが)

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】税金を滞納すると永住ビザが取り消される!?

  • 2018.10.10 Wednesday
  • 18:46

先般、9月25日に第7次出入国管理政策懇談会(第12回会合)が千代田区霞ヶ関で開催されました。

出入国管理政策懇談会とは、出入国管理行政について広く各界の有識者から意見を聴くために設けられた法務大臣の私的懇談会で、平成28年9月に発足した第7次の政策懇談会は、第5次出入国管理基本計画において今後検討することとした課題等について、幅広い視点から有識者の意見を聴取することを目的としています。

 


 

 

今回の会合では、議案のひとつとして「永住者の在留資格について」今後の方針が検討されました。

 

永住者の在留資格をもって日本で暮らす外国人は、平成29年末時点で749,191人おり、在留外国人全体のうち約3割を占めるに至っています。

 

一方で、永住申請の許可率の推移をみると、ここ数年減少傾向にあるという興味深いデータも公表されています。

特に直近の昨年においては、6割を下回る低い許可率で着地しています。

 

【永住許可率の推移】(懇談会配布資料より)

平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
71.8%  70.5%  70.9%  67.5% 56.9%

 

永住を許可するか否かは、法務大臣の広範な自由裁量権に委ねられているといわれています。

したがって、社会情勢や在留管理方針等の変化によって、許可率にも変動が生じうるのです。

→この点については以前のエントリーで詳しく説明しています。

 


 

それでは、今後も許可率の低下は続くのでしょうか?

もちろん、それは今後の状況次第としか言いようがないのですが、公表資料によると、少なくとも納税関連事項については、審査がより厳格化するのではないかと推測されます。

 

その理由は、平成29年度から平成30年8月にかけて法務省入国管理局に寄せられた地方自治体からの主な要望(永住審査に関するもの)として、以下の項目が挙げられているからです(以下、配布資料7頁より引用/太字・傍線引用者)。

 


 

1 納税状況の確認ついて
○ 住民税の納税状況以外に,他の「市税」(国民健康保険税,固定資産税,軽自動車税,都市計画税)の納税状況も含め
審査を実施していただきたい。
○ 納税証明書の提出を求めない過年度分の税金は未納が多いことから,過年度分まで提出を求め,納税義務の履行を確認して
いただきたい。
○ 地方税法に基づく住民税・国民健康保険税は納付義務の時効が5年,国民健康保険法に基づく国民健康保険料は2年のとこ
ろ,未納による差し押さえ等がある場合には時効が停止している。したがって,時効停止を考慮し,4〜5年程度の納税状況
を確認していただきたい。
ただし,納税状況の照会に応じることは困難であることから,納税に係る確認書や滞納がない旨の
証明書の提出を求めるなどの方法を検討していただきたい。
○ 永住者は将来も日本に居住することが見込まれるため,国民年金保険料の未納についても,将来の無年金者や生活保護受給
者の増加につながる問題であるため,市税の納付と合わせて注視していただきたい。

永住許可を既に受けている者の社会保険料等納付状況の定期的な確認を実施していただきたい。
○ 滞納しているのであれば,永住許可の取消しなどの対応も必要ではないかと考える。
2 外国人の出入国に係る情報連携について
未納者が出国した場合,徴収することが困難となるところ,同一人が再度入国した場合であっても,自治体では同一人性が確認できないため,徴収が困難となる。また,出国事実が把握できないため,未納分の徴収が可能か否かさえ不明となることから,外国人の出国情報を提供していただきたい。
3 その他
現場としては,永住者の日本語能力にも疑問を感じる。日本での生活や,安定した就労のためには,一定程度の日本語能力が必要となるため,日本語能力についても永住許可の判断の要件とし,審査を実施していただきたい。

 


 

現時点(2018年10月現在)では、住民税の納税証明書等が必須書類として求められており、必要に応じて国民健康保険税の納付状態も審査されていますが、今後は国民年金他の市税日本語能力も審査の対象となる可能性もあります。

 

また、注目すべきは既に永住許可を受けている者についても調査(確認)の対象とすべきとの意見もあり、滞納状態が悪質な場合は永住許可の取消しも今後議題に挙げられる可能性があるという点です。

 

もちろん、まだ要望が寄せられている段階ですので、近々でというわけではないと思われますが、永住申請に際しては一層の事前検証が必要となることは間違いなさそうです。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】永住申請の審査期間(東京入国管理局管轄)※2018年9月現在

  • 2018.09.28 Friday
  • 18:19

永住ビザの審査期間について、法務省が定める標準処理期間によると、「4か月」とされています。

たしかに、(事案にもよるものの)全国的にみればおおよそ4〜6ヶ月ほどで結果が出るケースが多いようです。

 

ところが、こと東京入国管理局に関しては、昨今、永住審査期間の長期化が指摘されています。

以前のエントリーでご紹介したとおり、約9ヶ月(場合によっては1年近く)というのがここ最近の傾向です。

 


 

では、なぜ管轄によってこのような差(地域差?)が出てしまうのでしょうか?

 

東京入管は審査長期化の理由について、申請件数の増加を理由のひとつとして説明しています。

たしかに、東京入管が管轄する1都9県は外国人が非常に多いため、永住申請件数もダントツで全国1位です。

 

(出典:地方入国管理局管内別 在留資格の取得等の受理及び処理人員(2018年7月)抜粋)

 

最新の統計(9月25日掲載)によると、今年7月の現在で受理されている全国の永住申請受理件数41,488件のうち、東京入管がかかえる件数は29,025件ですので、じつに約7割が東京入管の処理案件ということになります。

 

それでは、実際に申請件数は増加しているのでしょうか?

 

統計によると、平成29年1月時点の東京入管における永住申請受理件数は15,680件でした。

ところが、1年後の平成30年1月時点での件数は、24,255件となっています。

単純計算でも1年で8,500件の増加とみることができるため、確かに申請件数は増えているようです。

 

しかし、この受理件数という数字は該当月に受理した件数を指すのではなく、旧受(前月までの未済件数)と新受(該当月に受理した件数)の総数であるため、少し注意が必要です。

 

統計上では、毎月2,000〜3,000件の永住申請が受理(新受)されているのですが、昨年4月の永住許可に関するガイドライン改定後は、しばらくの間3,000件超の月が続きました。

一方で、既済件数(既に審査が完了した案件数)は2,000件前後で推移しています。

したがって、申請件数(新受)が少しずつ増加する一方で、審査の処理件数(既済)はほぼ横ばいという状態がここ1年続いた結果、未処理件数(未済)が徐々に増えていったというわけです。

つまり、上述した約8,500件の増加は、未済の積み重ねによる持ち案件の増加分ということができます。

 


 

東京入管がこのような状態にある一方で、同じく大都市圏を管轄する名古屋入管と大阪入管についても、ガイドライン改定後の微増はあったようですが、統計上は東京入管ほどの増加傾向はみられません。

 

以上を踏まえると、東京入管の永住審査部門がいかに混雑状態にあるかが想像できます。

 

審査が長引くことで焦る気持ちも理解できますが、上記現状を考えるといたし方ないといえそうです。

入管当局もこの国のために誠実に仕事をしてくださっているわけですので、申請人側としても謙虚な気持ちで粛然と結果を待ちたいものです。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】『入国在留管理庁』が来春よりスタート

  • 2018.08.30 Thursday
  • 18:23

 

前回までの記事でもご紹介したとおり、来年4月の新在留資格「特定技能(仮称)」の運用スタートに向けて、法務省は組織編成を進めています。

 

具体的には、『法務省入国管理』を『入国管理』に“格上げ”することと、入管実務にあたる入国審査官や入国警備官の増員が行われる方針です。

 

★最新の報道によると、新しい官庁の名称は入国在留管理庁(仮称)となる見通しのようです。入管は、入国審査を行うだけでなく、在留審査も行うわけなので、実態に即した名称だと思います。

 

また、入国審査官などの具体的な増員数については、500人規模で増員することを来年度予算の概算要求に盛り込んだとのことです。

500人増員、といわれてもあまりピンとこないかもしれませんので、現状から説明していきます。

 


 

(出所:平成29年版入管白書「出入国管理」(P.136「資料編2 組織・体制の拡充」))

 

『平成29年版入管白書「出入国管理」』によると、入国管理局関係の職員数は平成29年度で4,614人で、5年前の平成24年度の3,881人と比べ約19%、733人増加しています。

下図をみても、平成26年度以降は毎年だいたい200人ずつ増員されていることがわかります。

 

(出典:平成29年版入管白書「出入国管理」(P.138「資料編2 組織・体制の拡充」))

 

それが一気に500人規模の増員となるわけなので、インパクトとしては大きいといえます。

 

人事院は先日、2018年度の国家公務員一般職試験(大卒程度)に合格したのは7782人で、前年度より577人増えたと発表しましたが、その数字が上記増員数にキレイに反映されていることがわかります。

筆者が接した法務省関係者の話によると、他の省庁は基本的に募集人数が減っているにもかかわらず、法務省入国管理局だけが募集を増やしているようですが、上記経緯を踏まえると納得できそうです。

 


 

『入国在留管理庁』には長官と次長が置かれ、その下に「出入国管理部」と「在留管理支援部」が設置される方針です。

「出入国管理部」は出入国に関する事務や不法在留の取り締まりなどを担当し、「在留管理支援部」は他省庁や地方自治体と連携し、在留管理体制の強化や在留外国人の生活環境整備等を進めていきます。

 

ちなみに、歴代の入国管理局長は、1999年以降、最高検察庁の検事がその大半を占めてきた経緯があるのですが、新たに設置される「長官」についてもそのような人事傾向は続くのでしょうか。そこまでは図りかねるのですが、外局となる以上、情報開示もより積極的に行われるべきですし、国民に一層広かれたクリアな組織になってほしいと思います。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------

【最新】新しい在留資格と入管法改正(後編)

  • 2018.08.20 Monday
  • 17:48

 

前回の記事(前編)では、外国人労働者を受け入れるための新たな在留資格や受け入れ分野についてご説明いたしました。


後編では、来年以降急増することが予想される外国人労働者の受け入れにあたり、どのような問題が想定されるのか、また、それに対して政府はどのように対処していく方針なのかについてみていきたいと思います。

 


 

新制度により新たに来日する外国人は、2025年ごろまでに50万人超に上る見込みといわれています。

現行制度で工場や工事現場等で働く外国人は大半が技能実習生なのですが、その総数が現在約27万人ということを考えると、いかに急増するかがうかがい知れます。

 

新在留資格(特定技能)で来日する外国人は、基本的には本国で大学等の高等教育機関(大学等)を出ていない若者たちが想定されます。そのような境遇・年齢から、初めて日本に来る方々が大半であると予想されるのですが、そこで想定される問題として挙げられるのが日本語や日本社会に対する理解不足や受け入れ体制の不備等に起因する生活トラブルや文化的摩擦です。

 

若い働き手として日本で働いてくれるのはありがたいですが、日本で働くということは、当然ながら日本で生活することを意味します。

 

外国人労働者問題についてスイスの作家マックス・フリッシュが語ったという有名な言葉に我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だったという一節がありますが、労働力以前に、外国人(人間)としてどう受け入れるかが重要になってきます。

 


 

 

この問題に対して、政府は出入国管理体制を見直すことで、外国人単純労働者の大規模流入に備える方針を打ち出しました。

 

具体的には、現行の『法務省入国管理』を『入国管理』に“格上げ”することで、入管政策の企画立案機能を高め、厚生労働省等の他省庁と調整する司令塔機能をもたせるといいます。

 

「局」が「庁」になったところで何が変わるのでしょうか?

現行の入国管理局が法務省の内部部局(内局)、つまり法務省の中の一部局であるのに対して、入国管理庁となると法務省からは独立した「外局」となるため、より専門的・強権的で独立性の高い事務を行うことができるようになります。(有名な外局に「特許庁」「文化庁」「気象庁」「公安調査庁」等があります)

 

とはいえ、ハコを変えただけでは意味がありません。

そこで、政府は入管実務にあたる入国審査官や入国警備官の人数も来年度以降段階的に増やし、業務量増加に備えるとしています。

そして、その動きは早くも数字に現れています。

最新の報道によると、人事院は本日(8月21日)、2018年度の国家公務員一般職試験(大卒程度)に合格したのは7782人で、前年度より577人増えたと発表しました。

筆者は毎週東京入国管理局に出向いていますが、来年度以降、ニューフェイスの新人審査官が増えると思うと、入管の風景も随分と変わるのだろうと想像されるのです。

 

その他の受け入れ体制整備としては、受入れ企業、又は法務大臣が認めた登録支援機関が支援の実施主体となり、外国人材に対して、生活ガイダンスの実施、住宅の確保、生活のための日本語習得、相談・苦情対応、各種行政手続に関する情報提供などの支援を行う仕組みを設けるといいます。

 


 

なお、今回報道で「入国管理庁」と聞いたとき、筆者はどこかで見覚えがあるなと感じたのですが、じつは我が国には過去にも「入国管理庁」が存在したのですね

(古い入管資料を調査した際に目にしたのが印象に残っていたようです)

 

それは、今からさかのぼることじつに67年前…。

 

 

写真は旧外務省外観(出所:「まちかどの西洋館別館・古写真・古絵葉書展示室」)

 

戦前、日本の出入国管理は内務省が管轄していましたが、戦後しばらくは連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の管理下に置かれていました。

しかし、1950年10月に外務省の外局として「出入国管理庁」が設置され、翌1951年11月に同庁が廃止され、同じく外務省の外局として「入国管理庁」が設置されました。

(当時は法務省ではなく、外務省の外局だったのですね!)

 

ところが、その入国管理庁も翌1952年8月には廃止されてしまい、法務省の内部部局へ移行し「法務省入国管理局」として再編され、現在に至ります。

 

わずか9ヶ月間で姿を消した幻の入国管理庁が、70年近く経って法務省外局として復活するわけですね。

 

そう思うと少しロマンも感じますが、現実問題はシビアな表情で目前にせまっています。

入国管理庁が、名実ともにその統率力を発揮することで、適正な在留管理が徹底されるとともに外国人の人権が護られ、私たち日本人と外国人が円滑に共生できるような社会が実現されることを望むばかりです。

 

------------------------------------------------

◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

-------------------------------------------------