【最新】外国人と健康保険制度をめぐる問題

  • 2018.06.07 Thursday
  • 10:00

 

日本の医療費が外国人に食い物にされている?!

 

近時、このようなニュースを眼にすることが多くなっています。

 

報道によると、日本で安く医療を受けるために『留学』ビザを取得して来日する中国人が増加し、日本の医療費を圧迫しているといいます。

日本を訪れる中国人の間でとりわけ需要が多いのはC型肝炎で、特効薬のハーボニーは3カ月の投与で465万円かかるところ、国保に加入して医療費助成制度を使えば、月額2万円が上限になるため、そういった治療目的でビザ申請を行うケースもあるようです。

(出典:PRESIDENT Online

 


 

もちろん、上記のような事例はごく一部の心無い人による行為かと思います。

 

しかし、一部のビザを除き、日本に在住する外国人は原則として国民健康保険の被保険者となることができるため、「健康保険証(国民健康保険被保険者証)」を取得すれば、来日間もない外国人であっても、日本人と同様に低い自己負担で医療を受けられるのは事実なのです。

 

たとえ外国人であっても、都道府県の区域内(つまり日本国内)に住所を有する者は、社会保険に加入している場合等を除き、都道府県の区域内に住所を有するに至った日から、国民健康保険の被保険者となるとされているからです(国民健康保険法5条、7条)。

 

 

それにしても、なぜわざわざ『留学』ビザを取得する必要があるのでしょうか。

 

日本で医療を受けたいのであれば、そのために用意された『特定活動』(告示25号)というビザ(いわゆる『医療滞在』ビザ)があるため、そのような専用のビザで来日すれば非難されるいわれはないはずです。

 

なぜ、前記『医療滞在』ビザではなく、ウソをついてまで『留学』ビザで来日するのか。

答えは、『医療滞在』ビザでは国民健康保険に加入できないからです。

つまり、『医療滞在』ビザでも来日できるが、それだと全額自腹で支払わなければならないため、忌避される傾向にあるのです。

 

◆国民健康保険法6条は「適用除外=被保険者となれない者」として以下の11パターンを規定しています。

 


 

第六条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。

 

一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による被保険者。ただし、同法第三条第二項の規定による日雇特例被保険者を除く。

二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の規定による被保険者

三 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく共済組合の組合員

四 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定による私立学校教職員共済制度の加入者

五 健康保険法の規定による被扶養者。ただし、同法第三条第二項の規定による日雇特例被保険者の同法の規定による被扶養者を除く。

六 船員保険法、国家公務員共済組合法(他の法律において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者

七 健康保険法第百二十六条の規定により日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなるに至るまでの間にある者及び同法の規定によるその者の被扶養者。ただし、同法第三条第二項ただし書の規定による承認を受けて同項の規定による日雇特例被保険者とならない期間内にある者及び同法第百二十六条第三項の規定により当該日雇特例被保険者手帳を返納した者並びに同法の規定によるその者の被扶養者を除く。

八 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定による被保険者

九 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者

十 国民健康保険組合の被保険者

十一 その他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの

 


 

上記のうち、外国人については太字で示した11号にあたるため、さらに省令を確認する必要があります。

省令(国民健康保険法施行規則1条)は以下の外国人を「適用除外=被保険者となれない者として列挙しています。

 


 

第一条 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号。以下「法」という。)第六条第十一号に規定する厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。

 

一 日本の国籍を有しない者であつて、住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の四十五に規定する外国人住民以外のもの(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)に定める在留資格を有する者であつて既に被保険者の資格を取得しているもの及び厚生労働大臣が別に定める者を除く。)

二 日本の国籍を有しない者であつて、入管法第七条第一項第二号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、病院若しくは診療所に入院し疾病若しくは傷害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは傷害について継続して医療を受ける活動を行うもの及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行うもの(前号に該当する者を除く。)

三 日本の国籍を有しない者であつて、入管法第七条第一項第二号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において一年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの(十八歳以上の者に限り、第一号に該当する者を除く。)

四 日本の国籍を有しない者であり、かつ、前号に規定する者に同行する配偶者であつて、入管法第七条第一項第二号の規定に基づく入管法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動として法務大臣が定める活動のうち、本邦において一年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの(第一号及び前号に該当する者を除く。)

五 その他特別の事由がある者で条例で定めるもの

 


 

上述した『医療滞在』ビザは太字で示した2号が該当するため、国保には加入できないのです。

 

★なお、『短期滞在(いわゆる観光ビザ)』や3ヶ月以下の在留期間のビザも被保険者になることはできません(同条1号)。

同じく『特定活動(観光・保養を目的とするロングステイビザ)』(告示40号・41号)も国保には加入できないため、全額自己負担となります(同条3号・4号)。

 

 

一方で、『留学』ビザを含む中長期在留者については、上記適用除外とはならいため、外国人であっても国保に加入することができます(というよりも、加入しなければなりません)。中長期在留者の中でも、『留学』ビザは比較的取得のハードルが低いため、日本の国保に加入する"手段″として『留学』ビザが悪用されてしまっているのです。

 

まじめに勉強に励む留学生がたくさんいる一方で、上記のような不届き者もいるわけです。

留学生のビザ申請をお手伝いすることも多い私たちとしては、なんともやるせない気持ちです。

 

このような現状に対して、国会議員の中には在日外国人に国保は適用すべきでなく、新たな医療保険を用意すべきだとの声もあがっているといいます。(参考:zakzak by夕刊フジ

 

前回のエントリーで紹介したとおり、来年創設される新たな就労ビザにより、今後外国人の急増が予想されています。現在の状況を放置すれば、外国人の増加が社会保障費のさらなる増大を加速化することになりかねません。

 

 

「すべての国民に一定水準以上の平等な治療を提供する」

この社会的理念に基づく国民皆保険制度は、日本が世界に誇る"助け合いの仕組み”です。

 

私たちがこれからも安心して医療を受けられるようにするためにも、

助け合いの調和を乱す不届き者は排除しなければならないはずです。

 

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【最新】2019年4月から新在留資格が創設される見通しです

  • 2018.05.31 Thursday
  • 17:12

日本市場における労働力不足がさけばれる中、外国人の労働力を確保・定着化させようという動きが大きくなってきています。

 

報道によると、政府は23日、技能実習を終えた実習生など一定の技能を持つ外国人を対象に、国内での就労を認める在留資格を新たに創設する方針を正式に示しました。

(出典:日本経済新聞

 

 

これまでは、(入管法上)専門的な知識や技術等を要しないとされる、いわゆる単純就労(現業)と呼ばれる現場業務については、それに従事することを目的とした中長期滞在ビザは用意されていませんでした。

しかし、新たなビザが創設されることにより、現業であっても既存の就労資格と同様に中長期的な滞在が可能となるため、労働力の確保・定着化につながることが期待されています。

 


 

一方、今後急激な増加が見込まれる外国人労働者の管理体制の強化に向けて、法務省は、厚生労働省や市区町村と連携して雇用や婚姻などの状況を一元的に把握するための新たな対策案をまとめました。

(出典:NHK NWES WEB

 

これまでも、外国人労働者を雇用した企業には厚生労働大臣(ハローワーク)への届出義務が課されており、違反者には30万円以下の罰金も規定されています(雇用対策法28条1項、40条1項2号)

 

しかし、外国人の在留管理全般は法務省(入国管理局)、雇用管理は厚生労働省、住民登録や国民健康保険は市区町村、というように管轄が分かれていたため、一元管理ができる体制ではありませんでした。

 

そこで、今後はそれぞれの機関の相互連携を更に強化し、違反状態が発覚した場合はすみやかに対処・改善できるよう、調整が進められているというわけです。

 


 

 

★この管理体制強化対策の対象者は、永住者も例外ではなく、報道によると、永住許可後にも資格を取り消すことができる新たな仕組みを設ける方向で検討が進められているとのことです。

(出典:NHK NWES WEB

 

具体的なところは明らかではありませんが、おそらく日本人の配偶者等の身分で永住ビザを取得後、(永住許可に際して前提条件となっていた)実体を伴った婚姻生活が維持継続されていない場合や、早々に離婚した場合。

その他高度専門職等の緩和要件で永住許可後、契約機関で稼働実体が長期間確認できない場合や、許可時の見込みに反して早期に退職した場合等が取消しの対象になるのではないかと推測しているところです。

 


 

国際慣習法上、外国人の入国・在留の許否は当該国家の自由裁量により決定することができると解されています。

すなわち、どのような外国人を受け入れ、どのような外国人を排斥していくかは、基本的にはその国が自由に決めることができるのです。

 

したがって、上記のような在留管理の一元化・強化が行われ、場合によっては永住ビザでも取り消すことができるとすること自体は、何ら問題でもありませんし、むしろ主権国家として当然な姿ともいえます。

 

大切なのは、そういった時代の変化に即応し、不測の不利益を被ることがないよう、正しい情報のもと留意と対策を続けていくことではないでしょうか。

 

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【閑話】行政書士のサラメシ@品川埠頭(補筆)

  • 2018.05.24 Thursday
  • 18:09

週に1回、品川埠頭にある東京入国管理局に通うようになって、4年近くが経ちました。

東京オリンピックの開催に向けた動きもあり、都心の環境は絶えず変化し続けています。

 

しかし、ここ東京入国管理局近辺は、あまり大きな変化はないようです。

 

以前のエントリーで、品川埠頭唯一の食堂(湾岸労働者のオアシス)『品川台場食堂』を紹介しました。

 

今回はここの筆者イチ押しのメニューをご紹介します。

 

 

大衆食堂の定番「豚ロースカツ定食」です。

 

品川台場食堂といえば、日替わりランチ(A〜D)が人気なので、以前は日替わりランチの中から選んでいたのですが、この豚ロースカツ定食と出会ってからは、これしか頼まなくなりました(料金は日替わりと同じです)。

 

まるでレプリカのようなきれいな切れ目と、塩コショウの下味がしっかりついた肉がポイントです。

店主のこだわりとか、素材のアピールとかが一切ない素朴な味が、望郷の念を誘います。

 

人気メニューなのか、せっかく楽しみにしていたのに早々に売り切れになる日もあります。

そんなときは、めげずに少し足を伸ばします。

 

 

 

品川埠頭の京浜運河沿い、真上に新幹線が走る高架下近くに、その店はあります。

お持ち帰り専用の海鮮丼屋さんです。

 

場所柄、ちょっとアウトレイジな雰囲気が漂うロケーションながら、

元気な店員さんが明るく出迎えてくれます。

 

 

ここのお勧めは「トロトロ丼」です。

ちょっと前までは550円だったのですが、最近少し値上げしました。

店内で食べることはできないので、食べる場所は買ってから探します。

 

でも、

これから暑くなりますから、今後は食べる場所を決めてから買うようにします。

 

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【実務】入管における審査プロセス

  • 2018.05.17 Thursday
  • 10:00

前回のエントリーで予告したとおり、今回は入国管理局における具体的な審査プロセスについて解説いたします。

この審査プロセスは永住ビザに限らず、基本的にすべての在留資格に共通していますので、流れを理解しておくことで申請する側の心構えが備わるのではないかと思います。

 

さっそくみていきましょう。

 


 

 

【1】基調調査

申請が受付されると、申請内容や申請人の状況に応じて、審査の参考となる資料(たとえば、過去の申請資料や届出情報等)を抽出します。もし管轄が異なる場合(たとえば、前回は大阪入管管轄、今回は東京入管管轄等の場合)は、当該地方局等の長に対して資料の送付を依頼します。ただし、立証資料等により在留資格該当性及び基準適合性が明白であり、かつ、在留状況に問題がないと認められる場合は、これら資料の到着を待たずに処分を行うことができるとされています。

 


 

【2】受け付けた案件の振分け

申請受付後、所要の電算処理を行った上で、速やに『振分け担当者』が案件の振分けを行います。

具体的には、状況に応じて下記のとおり4つの分類に振り分けられます。

 

案件》許可(交付)相当の案件

案件》慎重な審査を要する案件(いわゆる慎重審査案件)

案件》明らかに不許可相当の案件

案件》資料の追完を要する案件

 

※詳しくは以前のエントリーをご参照ください。

 


 

【3】実体審査

上記【2】で案件を振り分けられた担当審査官が審査を行います。

具体的には下記プロセスで審査が進められます。

また、必要に応じて実態調査(家庭・職場訪問等)が行われます。

 

 

〇実認定

それぞれのビザには要件(法令上の条件)が規定されています。審査では、個々の事案がそれらの要件に適合するかが判断されるのですが、その前提として、当該要件に当てはまる事実の存否が問題となります。そのため、前提となる事実の把握(=事実認定)が客観的・公正に行われることが審査において何よりも重要であるとされています。

事実認定は、具体的に下記要領で進行されます。

 

(1)立証資料(書類)による事実認定

(2)実態調査による事実認定

(3)蓄積した情報による事実認定

(4)社会通念・常識による事実認定

 

(2)〜(4)からわかるように、審査(事実認定)は提出した書類だけで行われるわけではありません。提出する書類を適正に作成することはもちろん重要ですが、(3)にあるように入管が既に掴んでいる情報との整合性も問われてくるのです。私たちが過去の申請経緯や申告内容との齟齬に注意を払うのはそのためです。

また、上記のなかでも興味深いのは(4)です。(1)から(3)までの事実認定に際して、判断に迷うことがあれば、入管も最終的には“世間一般の常識”に沿って判断しているということがわかります。

いくら法令に規定がないからといって、あまりに非常識な判断をされたらとても納得できませんよね。この点は、裁判官についても経験則・論理則(平たく言えば常識)に反する認定は法令違反とされることがあるという点と通底しているように思います。

 

∨[瓩悗療てはめ

前記のようにして事実を確認した上で、最後にその事実を法律・規則等に当てはめるのが審査の仕上げです。

なお、入管の内部基準である審査要領(第1編第2節)には、「行政処分については、法令が明示する要件以外の要件は一切あり得ない」と明記されています。

入管実務を行う上で、法令の知識や正確な解釈がいかに重要であるかを再認識させられます。

 

処分

上記´△侶覯漫⇒弖錣謀合していると判断された場合は『許可(交付)』処分を、不適合と判断された場合は『不許可(不交付)』処分がなされます。

処分(行政処分)は必ず法令の明文の規定に基づき行われなければならず、特に不利益処分(不許可等)を行うにあたっては、法令の定めるいずれの要件に適合しないのかについて、正確な事実認定に基づいて判断した上で、申請人に対しても理由(どの要件に適合しないのか)を明示しなければならないとされています。

処分の結果によっては、申請人の人生を大きく左右することになるわけなので、それだけに正確さや慎重さが求められるわけです。

 


 

【4】事案概要書等の作成

所要の審査を終えたときは、当該案件を担当する入国審査官は、認定した事実及び審査上の留意点等を踏まえ、これらに基づく措置方針を記載した事案概要書(下記)を作成の上、起案するとされています。そして、最終的には決裁者がこの事案概要書の記載等を踏まえて総合的に判断し、決裁を行うことで処分が決定することとなります。

 

なお、不許可(不交付)処分の際も上記事案概要書が作成されるのですが、私たち行政書士が申請人に代わって不許可(不交付)理由を当局にてヒアリングする際、説明を担当する審査官も多くの場合この事案概要書を手にしながら説明を行っています(ただし、私たちが直接この書類を閲覧することは原則認められません)。

 


 

以上、審査プロセスの概要をご説明しました。

 

私たち行政書士は、プロとして依頼を受けて申請をお手伝いしています。

そのため「申請したらそれでおしまい、あとは審査官の判断にお任せ」では、あまりに無責任です。

実際に審査官がどのように事件を処理し、どのような方針のもと何を拠り所として審査を進めているのか、その全過程を先回りして依頼人の利益につながるように最大限アシストすることが、私たちの使命であり、存在意義であるはずです。

 

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【実務】入国審査官の“心証”とは?

  • 2018.05.10 Thursday
  • 14:00

突然ですが、外国人の在留資格について、許否を判断するのは誰でしょうか?

 

以前のエントリーでご紹介したとおり、入管法上は「法務大臣」となっています。

しかし、実際は地方入国管理局に配属された「入国審査官」が実体審査を行っています。

 

そのため、申請する側としては、入国審査官に対してビザ取得の要件充足を主張立証していくことになるのですが、入国審査官が許否(許可するか否か)を判断する場面において、“心証(しんしょう)”という言葉が使われることがあります。

 

 

「このような対応は審査官の心証が悪くなる(心証を害する)」

「こうした方が審査官の心証にいい影響がある」

などという使い方をされることが実務の現場では多いです。

 

この“心証”という言葉、日常生活ではあまり聞き慣れないかもしれません。

 

一般的に「心にうける印象」という程度の意味でも使われることはあるのですが、

じつは、(本来は)法律用語として裁判官について使われている言葉なのです。

具体的には、裁判官が訴訟において事実認定をし、判決をくだすにあたって拠り所とする内心的判断のことを意味します(自由心証主義といった使い方がされています)。

 

それが、いつの間にか専門官庁における審査官(入国審査官や特許庁の審査官など)や審判官に対しても使われるようになったわけです。

 

裁判において勝訴か敗訴か、有罪か無罪か、といった判断がくだされるのと同じように、在留資格の審査に際しても、「許可(交付)」か「不許可(不交付)」か、基本的にはふたつにひとつ、白黒ハッキリつけなければなりません

そのため、入国審査官のような特に専門性が高い行政機関の審査官についても、裁判官に類するものとして“心証”という言葉が使われるようになったのかと想像されます。

※正確には、「許可(交付)」「不許可(不交付)」の他に「終止」(申請取り下げや申請人死亡等)という処分もあります。

 

上記の入国審査官の“心証”をイメージしやすいように、“心証メーターぴのこ:)”なるものを図式化してみました。

 

※上記はあくまでイメージです。絵が下手なのはお許しください。

 

もちろんこのようなメーターが実際に存在しているわけではないのですが、審査官の内心的構造を視覚化することで、審査や申請に対する心構えが少し変わってくるかもしれません。

それでは、上記図から、どんなことが見えてくるのでしょうか。

 


 

上記のとおり、基本的に在留審査における処分は、基本的には「許可(交付)」か「不許可(不交付)」のふたつにひとつです。

 

したがって、極論としては、たとえどんなにスレスレでも、最終的に許可の方向に1ミリでもメーターが振られれば、「許可(交付)」という処分がくだされるわけです。

実際に、難案件や複雑な案件、許否が微妙な案件(いわゆる慎重審査案件)ほど、ギリギリのところで許可の方向に振り切られたのだろうと推測される事案が少なくありません。

 

たしかに付与される在留期間の長短という面でのグラデーションこそありますが、最終的に「許可(交付)」を得ることが目的なのであれば、何も許可の方向に大きく振り切って(上記図でいうところの「10点」や「9点」で)認定される必要はないのです。

「10点」で許可されようが、「1点」で許可されようが、『許可』という行政処分に変わりはないからです。

 

むしろ難しい事案こそ、あえて「1点」や「0.5点」あたりのギリギリラインを狙っていった方が効果的なこともあります。

無理に高得点での許可を狙うあまり、不要な書類を過度に添付してしまうことで要点が不明確になり、審査遅延を招くこともあるからです。

 

およそ何点での許可を狙っていくか、このあたりの実際の“さじ加減”は実務上の経験則によるところも大きいため、ここで詳しく説明することは難しいのですが、上記のようなメーターをイメージいただければ、審査官の胸の内は何となく想像できるのではないでしょうか。

 


 

彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず』(孫子)ということわざが教示するとおり、自身の状況だけでなく、相手(審査官)の考え方や審査動向を先回りしてイメージしておくことは、良い結果を勝ち取るためにとても重要です。

 

次回は、上記“心証メーターぴのこ:)”を踏まえ、入国審査官の審査プロセスについて、より詳しくご説明する予定です。

 

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【Q&A】永住ビザの審査にはどれくらい時間がかかりますか?

  • 2018.04.26 Thursday
  • 16:43

入管業務においてもっとも忙しいといわれるのは例年1月〜4月上旬頃までなのですが、今年も何とか繁忙期を乗り越えることができました。

東京入国管理局においても、少しずつ平常運転に戻りつつあるように感じます。

 

同時に、この時期は永住ビザの条件のひとつである来日10年の節目を迎えられる方が多いタイミングでもあります。

(留学生や新社会人として来日された方は、4月入学・入社のタイミングで来日されることが多いからです)

 

そのため、例年4月〜6月は永住や帰化の問い合わせが増える時期でもあります。

 

永住ビザの申請を検討されている方から決まって受ける質問として、永住ビザの審査にはどれくらいの時間がかかりますか?というものがあります。人生設計の中で永住ビザ取得を目指す方も多いので、やはり申請から結果(許可・不許可)までの時間は気になるものですね。

 

 

行政手続に関する審査に要する期間を『標準処理期間』といいます(行政手続法6条)。

 

永住ビザの審査に関する標準処理期間については、法務省HPで公表されています。

それによると、標準処理期間は「4か月」とされています。

 

たしかに、案件によっては(特に懸念事項が少ない事案の場合)4か月前後で許可されるケースは少なくありません。

また、各入国管理局の管轄によっても大きな差があります。

たとえば、四国4県を管轄する高松入国管理局では、わずか5週間で永住許可された事案もありました。

 

なお、東京入国管理局管轄下においては、おおむね「6か月」が目安となっております。

実際に東京入管永住審査部門の担当官も、約半年かかっているのが現状との見解を示しています。

 


 

これはあくまで東京入国管理局における一般的な感触なのですが、許可される見込みが高い案件については、早くて4か月、遅くとも6.5か月ほどで結果(許可)が出ている一方で、7ヶ月を過ぎると不許可の可能性が一気に高くなる傾向にあります。

 

 

それでは、なぜこのように審査期間に大きな差が生まれているのでしょうか?

もちろんそれは対象事案の状況や性質、難易度等によって審査に要する時間が異なるからなのですが、それは具体的に審査プロセスどの段階(時点)で決まるものなのでしょうか?

 

 

★じつは、意外と早く、しかも審査の最初の入り口部分において、ある程度審査の方向性が決められているのです。

 

この事実は永住ビザに限らず、すべてのビザ申請において共通する重要な観点ですので、今回はその点について少し掘り下げてご説明いたします。

 



 

イメージしやすいように、実際の申請手順に沿って見ていきましょう(以下、審査要領をもとに構成)

 

【1】まず、ビザを申請するためには、申請書の作成に加え、所定の添付書類(証明書類等)を準備する必要があります。

 

【2】申請書類の準備ができたら、管轄する入管に持参し、窓口にて申請します。申請書及び添付書類が問題なくそろっていれば、入管にて申請が「受付」されます。

 

【3】申請を受け付けたときは、所要の電算処理を行った上で、速やに『振分け担当者』が案件の振分けを行います。

 

 

★ここでいったんストップしましょう。誰か出てきましたね。

そうです。ポイントはこの『振分け担当者』という登場人物です。

振分け担当者』とは、申請案件の振分けを行うのに適切な者として首席審査官又は所長が選出・指名した審査官のことをいい、迅速かつ適切な振分けの実現を図り、効率的な審査に努めることを使命としています。

 

申請案件の本質を短時間で見極め、その後審査方針を決定するわけですから、相当な切れ者であるに違いありません。

このように、すべての申請案件は、この最初の時点で今後の方向性を決められてしまうわけです。

 

 

【4】振分け担当者は、案件に振り分けた案件を速やかに決裁に回付し、を除く案件に振り分けたときは、速やかに担当者を決定し、配分します。

 

★はい、ここでも聞き慣れないキーワードが出てきました。「A案件」とはいったん何でしょうか?

じつは、申請されたすべて案件は、振分け担当者により下記4つの分類に振り分けられるのです。

 


 

案件》許可(交付)相当の案件

案件》慎重な審査を要する案件(いわゆる慎重審査案件)

案件》明らかに不許可相当の案件

案件》資料の追完を要する案件

 


 

【5】上記のうち案件に振り分けられた案件について、振分け担当者等は、追完資料の提出後ただちに又は案件への振り分けを行い、処理の促進を図ります。

 

【6】上記【5】により又はへ振り分けられた案件については、担当する審査官が引き続き審査を行い、最終的に法務大臣又は地方入国管理局長が許否の決定を行います。

 



 

以上が審査の具体的なプロセスです。

わかりやすいように上記フローを下記に整理してみました。

 

上記のように、審査をスムーズに切り抜けるためには、入り口部分でなるべくA案件に振り分けてもらえるよう、申請書類をしっかりと準備することが何よりも重要です。

しかし、仮にB案件に振り分けられてしまったとしても、的確なフォローにより最終的に許可にもっていける可能性は十分にあります。

 

そのため、私たちはA案件への振り分けを第一に目指しつつも、B,C案件になる見込みが高い案件に関しては、如何なるフォローが効果的か、他に主張すべき積極要素はないか、専門知識や経験をもとに検討・判断した上で申請に臨んでおります。

大切なのは、上記振り分け制度を正しく理解した上で、先回りした対策のもと申請書類を戦略的に構成していく姿勢なのです。

 

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【最新】在留外国人数(確定値)と永住者の割合

  • 2018.04.19 Thursday
  • 18:01

 

法務省入国管理局は、3月27日付けのプレスリリースにて、『平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)』を発表しました。

 

公表によると、平成29年末の在留外国人数は、256万1,848人で,前年末に比べ17万9,026人(7.5%)増加となり過去最高の数値となったとのことです。

 

そのうち、永住者74万9,191人で、在留資格別の人数ではダントツの1位(構成比29.2%)です。

昨年のエントリーでもご紹介したとおり、在日外国人のうちおよそ3人に1人が永住者という状態です。

 

永住者の人数は一昨年(2016年)末と比べて2万2,080人増加したとのことですので、残念ながら不許可となってしまった事案も含めると、昨年中だけでも3万件近くの永住許可申請(取得含む)が行われたものと推測されます。

 

 

さて、今回の統計のなかで注目してみたいのは、外国人の住所の比率です。

 

外国人がもっとも多い都道府県は「東京都」で構成比21%です。

在日外国人のうち、5人に1人が東京都に住んでいるわけですが、

2位「大阪府」(9.5%)、3位「愛知県」(8.9%)とやはり大都市が続きます。

 

4位以降は、4位「神奈川県」(8.0%)、5位「埼玉県」(6.5%)、6位「千葉県」(5.7%)と関東勢が占めているのですが、東京入国管理局が管轄する10都道府県のうち、7都道府県が上位10位にランクインしており、人数比率も既に約50%に迫っていることから、全国に8つある地方入国管理局の中でも東京入国管理局が扱う比率の多さに改めて驚かされます。

(どうりで毎日あれだけ混み合うわけだと、納得できるわけです…)

※統計の詳細はこちらで確認できます。

 

なお、昨年もっとも外国人が増えた都道府県は、意外にも「熊本県」でした(前年比 16.5%増)。

反対に、もっとも外国人が減ってしまった都道府県は「長崎県」とのことです(前年比12.9 %減)。

在住外国人の人数については、都道府県によって毎年多少の増減はあるのですが、じつは、今回の長崎県のような10%台の減少はめったにありません(少なくともここ5年間の統計ではここまでの減少はみられません。)。

…いったい長崎県に何があったのでしょうか。

 

 

真相はわかりませんが、この統計を眺めていると、日本で暮らす外国人の“今”が見えてきます

毎年3月に法務省プレスリリースにて発表されていますので、チェックしてみると意外な発見があるかもしれませんよ。

 

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【Q&A】永住ビザを許可するのは法務大臣?地方入国管理局長?

  • 2018.04.12 Thursday
  • 17:43

外国人の方(特別永住者を除く)であれば、入国管理局に提出するビザの申請書をご覧になったことがあると思います。

申請書の1枚目冒頭(左上)には、通常、あて先となる行政機関の長の名称を記載する欄があるのですが、永住ビザとその他のビザ申請では、あて先の名称が異なることをご存知でしょうか?

 

 

おそらくこの違いを意識する人は少ないでしょうし、知っていたからといって何か得するわけではないのですが、その違いの理由を辿ることで、永住ビザの特殊性を垣間見ることができるので、豆知識としてご紹介します。

 


 

それでは、最初にビザ変更の際に提出する「在留資格変更許可申請」の申請書の記載を見てみましょう。

 

 

上記で赤く囲ってあるとおり、あて名は『○○(地方)入国管理局長』となっています。

※○○には東京や大阪など、地方入国管理局の管轄名称(全国で8箇所)を記載します。

 

そして、許可された際に交付される在留カードにも、同様に地方入国管理局長名が記載されます。

 

 

なお、ビザ変更以外の、在留期間更新、在留資格取得、資格外活動許可等の各申請書も地方入国管理局長宛となっております。

 


 

次に「永住許可申請」の申請書の当該箇所を見てみましょう。

 

 

上記のとおり、永住ビザ申請の際は、地方入国管理局ではなく、『法務大臣』宛となっています。

そして、同じく許可された際に交付される在留カードにも『法務大臣』との記載があります。

 


 

このように、永住ビザとその他のビザ申請では、申請時のあて名及び許可主体(許可をする者)が『法務大臣』か『地方入国管理局長』かで異なるのです。

 

ちなみに、許可のみならず不許可主体も同様に異なります。

下記「不許可通知書」に記載のとおり、変更(上)は地方入国管理局長、永住(下)は法務大臣の名で処分がされています。

 

 

 

それでは、なぜこのような取扱いの違いが生じているのでしょうか?

以下にその理由を探っていきましょう。

 

ビザ手続きはすべて入管法令(入管法や法務省令等)で規定されていますので、まずは入管法の規定を確認する必要がありそうです。

先に見た在留資格変更に係る条文を参照してみましょう(下線太字引用者)

 


(在留資格の変更)

第二十条 在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格(これに伴う在留期間を含む。以下第三項まで及び次条において同じ。)の変更(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号イからハまでに係るものに限る。)を有する者については、法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更を含み、特定活動の在留資格を有する者については、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動の変更を含む。)を受けることができる。

2 前項の規定により在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留資格の変更を申請しなければならない。ただし、永住者の在留資格への変更を希望する場合は、第二十二条第一項の定めるところによらなければならない。

3 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。


 

あれ、おかしいですね…。

条文では地方入国管理局長ではなく、『法務大臣』に対して申請するとされています(2項)。

また、許否の判断主体も地方入国管理局長ではなく、『法務大臣』のようです(3項)。

ちなみに、在留期間更新(21条)や資格外活動許可(19条2項)等も同様に法務大臣となっています。

 

はて、、

永住ビザ申請の条文はどうでしょうか?

 


(永住許可)

第二十二条 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

2 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。

一 素行が善良であること。

二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

3 法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人に対し在留カードを交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該在留カードの交付のあつた時に、その効力を生ずる。


 

こちらもやはり宛て先、許可主体ともに『法務大臣』となっていますね。

このように、法律の条文上はどちらも『法務大臣』となっているのに、どうして先述のような違いが生まれることとなったのでしょうか?

 

★その理由は、入管法上、法務大臣の権限の一部が地方入国管理局へ委任されているからです。

※「委任」(=権限の委任)とは、行政庁がその権限の一部を他の行政庁に委譲すること。権限の委任があったときは、受任機関が自己の名と責任においてこれを行使する

 

先に見たとおり、本来は(条文上は)原則としてすべてのビザ手続きについて、法務大臣が自ら、その名において審査・処分をしなければなりません。

しかし、日々膨大な数のビザ申請が行われるなかで、そのすべての事案について法務大臣が主体的に審査することは現実的ではありません。

そこで、法務大臣の各種権限の行使に係る事務処理の合理化を図るため、法務大臣の権限を地方入国管理局長に委任することができることとしたのです(69条の2)。

 

したがって、上記の在留資格変更や在留期間更新等の場面については、その権限が法務大臣が地方入国管理局に委任されているため(入管法施行規則61条の2)法務大臣ではなく地方入国管理局長があて先であり、許否の判断主体となっているわけですね。

 


 

 

それでは、なぜ永住ビザ申請はその権限が地方入国管理局長へ委任されなかったのでしょうか?

言い換えれば、なぜあて先や許否主体が『法務大臣』のままとなっているのでしょうか?

 

★ここに永住ビザの特殊性を裏付けるミソが隠されています。

 

なぜ永住ビザは法務大臣あてに直接申請し、法務大臣が直接許可・不許可処分を行うのか。

その理由は、永住許可については、「申請を行った外国人の永住が日本国の利益に合するか否かという高度な判断が求められ、こうような判断は、法務大臣の責任その名においてのみなすべきものである」と考えられているからです(実務六法)

 

永住ビザについての審査は、いわば入管として外国人の在留に関する最終の審査になることから、他のビザとは比べ物にならないほど、厳格かつ適切に行われる必要があります。

だからこそ、永住ビザについては、地方入国管理局長任せにせず、法務大臣が自ら責任をもって判断しているわけですね。

実際の審査実務上も、永住ビザ申請案件については、『全件本省進達として扱われています(審査要領)

そのため、永住ビザの申請書類は、全国どこの入管に提出しても、原則としてすべて東京の法務省(本省)に送られ、法務大臣の名において審査・処分がされることになっています。

※「進達」とは、下級の機関から上級の機関に一定の事項を通知し、又は一定の書類を送り届けること。

 

このように見てみると、永住ビザの特殊性や重要性が改めて理解できるものと思います。

 

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【最新】ビザ申請時にSNSのID提示を要求されるようになる!?

  • 2018.04.05 Thursday
  • 22:06

新年度になり、日本列島を桜前線が縦断していますね。

お花見の席では、満開の桜をバックに、InstagramやFacebookに写真をアップする人も多いと思います。

 

“インスタ映え”という言葉もすっかり定着していますが、SNSとビザについて政府のある提案が話題になっています。

 


 

ビザの申請人は、過去5年間に利用したすべてのSNSのIDを、審査機関に提出しなければならなくなるかもしれません。

このほか、過去5年間の電話番号や電子メールアドレス、海外渡航歴なども記載が求められる可能性があります。

 

 

 

――といっても、これはアメリカの話。

 

報道(ロイター)は次のように伝えています。

 


米連邦政府はビザ申請者から収集する情報の拡充に向け、ほぼすべての申請者にソーシャルメディアIDの提示を求めることを提案している。29日付の国務省の連邦公報で明らかになった。

提案が行政管理予算局(OMB)に承認されれば、移民・非移民を問わずほぼすべてのビザの申請者は過去5年間に利用したすべてのソーシャルメディアIDの記載が必要になる。このほか、過去5年間の電話番号や電子メールアドレス、海外渡航歴なども求められる。


 

テロなど凶悪な犯罪を防止するためには、渡航者から一定の情報を入手して管理する必要はあるでしょう。

しかし、利用範囲や当局の適用基準が明確でないと、国籍や思想・信条等によって差別的な取扱いがなされるおそれもあります。

 

もしこのような運用を日本の法務省入国管理局も導入したら、と考えるとどうでしょうか。

 

入管法は「出入国の公正な管理」(1条)を目的に掲げていますが、「公正」さとは何か、「管理」はどこまでが許容されるのか、など、議論されるべき点は多いはずです。

 

米国政府の上記提案が承認されるかはまだわかりませんが、

裏を返せばSNSの情報発信力・吸引力をそれだけ国家が重視しているということになります。

 

パブリックコメントの受付は5月29日までとのことなので、

今年の夏休みまでには結論が出ているものと思われます。

 

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【Q&A】永住者でも退去強制されることがありますか?

  • 2018.03.29 Thursday
  • 22:17

前回のエントリーでは犯罪歴と永住ビザについてご説明しました。

 

実際に、永住ビザ申請前の段階において、犯罪歴が与える影響について質問を受けることは多いです。

しかし、永住ビザ取得後の犯罪歴については、あまり心配される声を聞きません。

 


 

永住ビザをとれば、ずっと日本にいられる。

こういった安心感があるからでしょうか。

 

★しかし、前々回のエントリー(永住ビザ取消し)でも触れたとおり、たとえ永住者であっても法律上「外国人」である事実に変わりはありません。したがって、永住者であっても、退去強制事由に該当すれば、日本国からの退去を強制されることがあります。

 

 

永住者である以上、日本に生活の本拠があり、公私ともに日本に定着して暮らしているはずです。

仕事も家族も友人も、その多くが日本にあるはずです。

 

それなのにも関わらず、国家により、強制的に国外へ追い出されてしまうわけです。

 

◆「退去強制」とは、「国家が好ましくないと認める外国人を行政手続きによりその領域外に強制的に退去せしめること」をいいます(実務六法)

俗に「国外追放」「強制送還」ともいわれるこの処分は、生活の基盤・日々の営みそのものを根こそぎ奪い去ってしまう、それだけ重たいものなのです。

 

★さらに、永住者であっても該当しうる重大な不利益処分は、退去強制だけではありません。

上陸拒否事由に該当すれば、日本に上陸することすらできないのです。

(たとえば、一時帰国や旅行等で自らの意思で出国した場合に、再来日ができないこともありえます)

 


 

だからこそ、どのような場合に退去強制や上陸拒否に該当してしまうのか、事前にしっかりと確認・認識し、万一のリスクに備えておくことが重要なのです。

あとから、「そんなの知らなかった…」では、あまりに苛酷にすぎます。

自分自身はもちろん、残された家族や友人、職場仲間らにとっても。

 

それでは、さっそく確認していきましょう。

↓ ↓ ↓

 

 



 

まず、退去強制事由からみていきます。

 

具体的な退去強制事由は入管法(24条)に列挙されています。

号数だけでも19事由、さらに細分すると40以上もの多数の項目が挙げられています。

 

すべてが永住者をも対象に含むものではありませんが、上述のとおり対象はあくまで「外国人」であるため、主体が限定されている事由を除き、永住者も該当することになります。

 

今回は、なかでも特に永住者も該当する蓋然性が高い事由をピックアップします。

 

 

 

それは、『無期または1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者(4号リ)です。

(ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。)

 

いわゆる犯罪歴ですから、私には関係ないと思われるかもしれません。

 

★しかし、法務省公表の統計によると、毎年50〜60人の外国人が、上記4号リを主たる適条として実際に退去強制令書により送還されています。

公表されている直近の2016年年次統計によれば、4号リを適条としては51人ですが、4号チ及び同号リ(薬物犯罪や売春罪等)適条事案を含むと168人が送還されていると公表されています。

 

この中には、永住者も含まれる可能性があります(ただし、在留資格の内訳は公表されていないため、確認できているわけではありません。)

 

そのように考えられる根拠は、永住者以外、すなわち「別表第1上欄の在留資格をもって在留する者」で犯罪を犯した者であれば、上記事由とは別の4号の2を適条として処理されるケースが大半であると推測されるからです。

※4号の2は、窃盗や傷害等、刑法等に定める一定の罪を犯し、懲役又は禁錮に処せられ、執行猶予や1年以下の刑を含めて対象とするものであるため、上記4号チよりも適用範囲が広いです。実際に、4号の2を適条として、2016年には77人が送還されています。

※なお、退去強制事由でもっとも多いのは4号ロ(いわゆるオーバーステイ)で5,268人、続いて1号(不法入国者)の520人、4号イ(いわゆる専従資格外活動罪)の452人です(いずれも2016年)。

 

 



 

それでは、続いて上陸拒否事由についてみていきます。

 

◆「上陸拒否事由」(5条)とは、「我が国の利益又は公益を守る観点から、上陸を禁止すべき外国人」(実務六法)を列挙したもので、号数だけでも17事由が挙げられています。

 

 

そのなかで特に永住者が注意すべきは、下記事由です。

 

日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」(5条1項4号)

 

上記の退去強制事由(4号リ)とよく似ていますが、大きな違いがあります。

 

★それは、「1年」の懲役等も含まれることと、執行猶予等も含むという点です。

すなわち、上陸拒否事由の方が、退去強制事由よりも適用範囲が広い(=該当する蓋然性が高い)のです。

 

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本号でいう「刑に処せられた」とは、歴史的事実として刑に処せられたことをいうため、刑の確定があれば足り、刑の執行を受けたか否か、刑の執行を終えているか否かを問わないのです。

したがって、執行猶予期間中の者、執行猶予期間を無事に経過した者等も含まれます

 

そのため、

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出来心から犯罪を犯してしまい、裁判で有罪が確定してしまったが、執行猶予をもらったからひとまず安心して母国に一時帰国したら、上記事由に該当することが発覚し、日本に戻って来れなくなってしまった…。

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そんな話も可能性がゼロなわけではないのですね。

 

上陸拒否のシーンは、いわば水際対策です。

そのため、我が国は、犯罪を犯したという事実を「反社会性の徴表」として、(永住者を含む)外国人の入国をその水際で厳しく管理しているわけです。

 

 


 

以上、永住者でも退去強制や上陸拒否の処分がされる可能性がある事由について解説しました。

 

もちろん、賢明な読者の皆さんは上記のような事態に陥ることはないと存じますが、

永住ビザを取得した後でも、日本での生活の基盤を失いかねない行政処分及び根拠法令が存在するという事実を再認識いただき、安心して日々の生活を送っていただきたいと考え、あえて“万一の事態”についてご紹介いたしました。

 

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