【Q&A】長期出国や離婚をすると永住ビザが取り消される?

  • 2018.03.15 Thursday
  • 18:06

「永住ビザをとった後、長い間日本を離れると、自動的に永住ビザが失効することはありますか?」

「日本人の配偶者として永住ビザをとった後、離婚したら永住ビザが取り消されますか?」

 

 

晴れて永住ビザを取得されたお客様から、このような心配の声を聞くことがあります。

せっかく努力して取得した永住ビザを失いたくないという気持ちは当然ですので、

そのような不安が生じても無理はないと思います。

 

さて、本当に上記のように長期出国や離婚等の事情が生じた場合、永住ビザが取り消されてしまうことがあるのでしょうか?

 

結論としては、上記(例示)の理由により永住ビザが取り消されることはありません。

 

「それなら安心です。それじゃあ、永住ビザを取得した以上、何があっても後から取り消されることはないですね?」

 


 

―さて、どうでしょうか?

 

★ここでご注意いただきたいのは、「永住者」の在留資格をもっている方も、あくまで外国人であることに変わりはないという点です。

※より正確にいえば、「特別永住者」を除く入管法別表第1又は第2の上欄の在留資格をもって本邦に在留する外国人です。

 

外国人である限り、『在留資格取消制度』の対象になることを忘れないようにしてください。

 

 

それでは、どのような場合に在留資格取消制度の対象になるのでしょうか?

入管法は、下記の場合に取消しの対象とすると規定しています(22条の4第1項)

太字引用者)で示した各号が、特に永住者にとって重要な事項です。

 


 

一 偽りその他不正の手段により、当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないものとして、前章第一節又は第二節の規定による上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。次号において同じ。)又は許可を受けたこと。

 

二 前号に掲げるもののほか、偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等(前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)又はこの節の規定による許可をいい、これらが二以上ある場合には直近のものをいうものとする。以下この項において同じ。)を受けたこと。

 

三 前二号に掲げるもののほか、不実の記載のある文書(不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により交付を受けた第七条の二第一項の規定による証明書及び不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により旅券に受けた査証を含む。)又は図画の提出又は提示により、上陸許可の証印等を受けたこと。

 

四 偽りその他不正の手段により、第五十条第一項又は第六十一条の二の二第二項の規定による許可を受けたこと(当該許可の後、これらの規定による許可又は上陸許可の証印等を受けた場合を除く。)。

 

五 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を行つておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること(正当な理由がある場合を除く。)。

 

六 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)をもつて在留する者にあつては、六月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

 

七 日本人の配偶者等の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者(兼ねて日本人の特別養子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子をいう。以下同じ。)又は日本人の子として出生した者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者又は永住者の配偶者等の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者(兼ねて永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

 

八 前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可、この節の規定による許可又は第五十条第一項若しくは第六十一条の二の二第二項の規定による許可を受けて、新たに中長期在留者となつた者が、当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から九十日以内に、法務大臣に、住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

 

九 中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した場合において、当該退去の日から九十日以内に、法務大臣に、新住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

 

十 中長期在留者が、法務大臣に、虚偽の住居地を届け出たこと。

 


 

上記のとおり、入管法に規定された在留資格取消事由(計10項目)のうち、少なくとも半数の5項目が永住者をも対象としたものなのです。

 

永住許可申請の手続き場面で特に留意すべきは、上記のうち二号三号です。

 

一言でいえば、申請内容を偽って(いわゆる虚偽申請をして)永住ビザを取得したような場合、後からその事実が発覚した場合、永住者であっても在留資格が取り消されてしまう場合があるのです。

 

当然ながら虚偽申請は許されるものではありません。

しかし、中には婚姻実態がないにも関わらず、婚姻継続の旨を装って配偶者の身分で申請したり、契約機関における稼働実態がないにも関わらず、会社に在籍して適正に仕事をしている旨を申告し、不正に許可を得る事例もあるようです。

そのような不正な事実が発覚したときは、法務大臣は「当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる」とされています(22条の4第1項柱書)

くどいようですが、たとえ対象者が永住者であってもです。

(取消の対象者は別表第1又は第2の上欄の在留資格とされており、例外は難民認定を受けている者だけだからです(同かっこ書))

 


 

とても重要な規定ですので、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

二号にある「偽りその他不正の手段」とは、「偽変造文書若しくは虚偽文書の提出若しくは提示又は虚偽の申立てなど、申請人である外国人が故意をもって行う不正の行為一切をいい、これには、一定の行為を行わないことを含む」とされています(入管法実務六法)

前段は大丈夫ですね。申請人が故意に(=わざと)ニセモノの文書やウソの事実を伝えること等です。

決して許されるものではありません。

 

★実務上もっとも注意すべきは後段部分「一定の行為を行わないこと」も含まれるという点です。

これを専門用語で「不作為(ふさくい)」と言います。

 

申請に際して不利益な事実がある場合、たとえば、本当は長期間別居状態にある場合や、その他重大な法令違反等があるにも関わらず、それを隠して申請する場合です。

 

この点については、近年の裁判例でも「「偽りその他不正の手段」とは、当該外国人が故意をもって行う虚偽の申立て、不利益事実の秘匿、虚偽文書の提出等の不正行為の一切をいうと解するのが相当」である旨が判示されています(平成25年12月3日東京地裁判決)

 

 

上述した不作為の姿勢、いわば“不利な書類は出さずに申請する”という姿勢は、実際の申請場面では珍しくないようですが、上記取消のリスクや裁判例をみても、本来あるべき姿ではないことは明らかでしょう。

(もちろん、対象となる事実の程度にもよりますが)不利益な事実があるときこそ、それを率直に開示・申告したうえで、合理的な弁明・真摯な反省でフォローに努めるという姿勢が、じつはもっともリスク回避の近道といえるのです。

 


 

 

それでは、申請者の故意によらず、たとえば、勤務先の会社が勝手に虚偽の文書を作成し、それを添付していた場合はどうでしょうか?

その場合は、上述した「偽りその他不正の手段」には該当しません。

 

★ただし、その場合でも三号に該当する可能性がありますので注意が必要です。

本号は一号・二号と異なり、申請者に故意があることを構成要件とはしていませんので、仮に申請者自身にその認識がなかったとしても、結果的に不実の記載のある文書等を提示して許可を受けた場合は取消しの対象となりえます。

 


 

上記のほか、たとえば九号や十号は住居地の届出義務違反についての規定ですので、ついウッカリ手続き漏れがあれば、永住者でも該当してしまう可能性が十分にあるといえます。

なお、この在留資格取消制度は、たびたび法改正により該当事由が追加されています。

 

永住ビザを取得したからといって油断せず、入管法令をはじめとした法規範・ルールをしっかり理解し、日本社会の一員としての自覚ある生活を心がけていきましょう。

 

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