【Q&A】永住者でも退去強制されることがありますか?

  • 2018.03.29 Thursday
  • 22:17

前回のエントリーでは犯罪歴と永住ビザについてご説明しました。

 

実際に、永住ビザ申請前の段階において、犯罪歴が与える影響について質問を受けることは多いです。

しかし、永住ビザ取得後の犯罪歴については、あまり心配される声を聞きません。

 


 

永住ビザをとれば、ずっと日本にいられる。

こういった安心感があるからでしょうか。

 

★しかし、前々回のエントリー(永住ビザ取消し)でも触れたとおり、たとえ永住者であっても法律上「外国人」である事実に変わりはありません。したがって、永住者であっても、退去強制事由に該当すれば、日本国からの退去を強制されることがあります。

 

 

永住者である以上、日本に生活の本拠があり、公私ともに日本に定着して暮らしているはずです。

仕事も家族も友人も、その多くが日本にあるはずです。

 

それなのにも関わらず、国家により、強制的に国外へ追い出されてしまうわけです。

 

◆「退去強制」とは、「国家が好ましくないと認める外国人を行政手続きによりその領域外に強制的に退去せしめること」をいいます(実務六法)

俗に「国外追放」「強制送還」ともいわれるこの処分は、生活の基盤・日々の営みそのものを根こそぎ奪い去ってしまう、それだけ重たいものなのです。

 

★さらに、永住者であっても該当しうる重大な不利益処分は、退去強制だけではありません。

上陸拒否事由に該当すれば、日本に上陸することすらできないのです。

(たとえば、一時帰国や旅行等で自らの意思で出国した場合に、再来日ができないこともありえます)

 


 

だからこそ、どのような場合に退去強制や上陸拒否に該当してしまうのか、事前にしっかりと確認・認識し、万一のリスクに備えておくことが重要なのです。

あとから、「そんなの知らなかった…」では、あまりに苛酷にすぎます。

自分自身はもちろん、残された家族や友人、職場仲間らにとっても。

 

それでは、さっそく確認していきましょう。

↓ ↓ ↓

 

 



 

まず、退去強制事由からみていきます。

 

具体的な退去強制事由は入管法(24条)に列挙されています。

号数だけでも19事由、さらに細分すると40以上もの多数の項目が挙げられています。

 

すべてが永住者をも対象に含むものではありませんが、上述のとおり対象はあくまで「外国人」であるため、主体が限定されている事由を除き、永住者も該当することになります。

 

今回は、なかでも特に永住者も該当する蓋然性が高い事由をピックアップします。

 

 

 

それは、『無期または1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者(4号リ)です。

(ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。)

 

いわゆる犯罪歴ですから、私には関係ないと思われるかもしれません。

 

★しかし、法務省公表の統計によると、毎年50〜60人の外国人が、上記4号リを主たる適条として実際に退去強制令書により送還されています。

公表されている直近の2016年年次統計によれば、4号リを適条としては51人ですが、4号チ及び同号リ(薬物犯罪や売春罪等)適条事案を含むと168人が送還されていると公表されています。

 

この中には、永住者も含まれる可能性があります(ただし、在留資格の内訳は公表されていないため、確認できているわけではありません。)

 

そのように考えられる根拠は、永住者以外、すなわち「別表第1上欄の在留資格をもって在留する者」で犯罪を犯した者であれば、上記事由とは別の4号の2を適条として処理されるケースが大半であると推測されるからです。

※4号の2は、窃盗や傷害等、刑法等に定める一定の罪を犯し、懲役又は禁錮に処せられ、執行猶予や1年以下の刑を含めて対象とするものであるため、上記4号チよりも適用範囲が広いです。実際に、4号の2を適条として、2016年には77人が送還されています。

※なお、退去強制事由でもっとも多いのは4号ロ(いわゆるオーバーステイ)で5,268人、続いて1号(不法入国者)の520人、4号イ(いわゆる専従資格外活動罪)の452人です(いずれも2016年)。

 

 



 

それでは、続いて上陸拒否事由についてみていきます。

 

◆「上陸拒否事由」(5条)とは、「我が国の利益又は公益を守る観点から、上陸を禁止すべき外国人」(実務六法)を列挙したもので、号数だけでも17事由が挙げられています。

 

 

そのなかで特に永住者が注意すべきは、下記事由です。

 

日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」(5条1項4号)

 

上記の退去強制事由(4号リ)とよく似ていますが、大きな違いがあります。

 

★それは、「1年」の懲役等も含まれることと、執行猶予等も含むという点です。

すなわち、上陸拒否事由の方が、退去強制事由よりも適用範囲が広い(=該当する蓋然性が高い)のです。

 

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本号でいう「刑に処せられた」とは、歴史的事実として刑に処せられたことをいうため、刑の確定があれば足り、刑の執行を受けたか否か、刑の執行を終えているか否かを問わないのです。

したがって、執行猶予期間中の者、執行猶予期間を無事に経過した者等も含まれます

 

そのため、

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出来心から犯罪を犯してしまい、裁判で有罪が確定してしまったが、執行猶予をもらったからひとまず安心して母国に一時帰国したら、上記事由に該当することが発覚し、日本に戻って来れなくなってしまった…。

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そんな話も可能性がゼロなわけではないのですね。

 

上陸拒否のシーンは、いわば水際対策です。

そのため、我が国は、犯罪を犯したという事実を「反社会性の徴表」として、(永住者を含む)外国人の入国をその水際で厳しく管理しているわけです。

 

 


 

以上、永住者でも退去強制や上陸拒否の処分がされる可能性がある事由について解説しました。

 

もちろん、賢明な読者の皆さんは上記のような事態に陥ることはないと存じますが、

永住ビザを取得した後でも、日本での生活の基盤を失いかねない行政処分及び根拠法令が存在するという事実を再認識いただき、安心して日々の生活を送っていただきたいと考え、あえて“万一の事態”についてご紹介いたしました。

 

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◆永住ビザの相談は、『永住ビザJAPAN』へ◆

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