【Q&A】永住ビザを許可するのは法務大臣?地方入国管理局長?

  • 2018.04.12 Thursday
  • 17:43

外国人の方(特別永住者を除く)であれば、入国管理局に提出するビザの申請書をご覧になったことがあると思います。

申請書の1枚目冒頭(左上)には、通常、あて先となる行政機関の長の名称を記載する欄があるのですが、永住ビザとその他のビザ申請では、あて先の名称が異なることをご存知でしょうか?

 

 

おそらくこの違いを意識する人は少ないでしょうし、知っていたからといって何か得するわけではないのですが、その違いの理由を辿ることで、永住ビザの特殊性を垣間見ることができるので、豆知識としてご紹介します。

 


 

それでは、最初にビザ変更の際に提出する「在留資格変更許可申請」の申請書の記載を見てみましょう。

 

 

上記で赤く囲ってあるとおり、あて名は『○○(地方)入国管理局長』となっています。

※○○には東京や大阪など、地方入国管理局の管轄名称(全国で8箇所)を記載します。

 

そして、許可された際に交付される在留カードにも、同様に地方入国管理局長名が記載されます。

 

 

なお、ビザ変更以外の、在留期間更新、在留資格取得、資格外活動許可等の各申請書も地方入国管理局長宛となっております。

 


 

次に「永住許可申請」の申請書の当該箇所を見てみましょう。

 

 

上記のとおり、永住ビザ申請の際は、地方入国管理局ではなく、『法務大臣』宛となっています。

そして、同じく許可された際に交付される在留カードにも『法務大臣』との記載があります。

 


 

このように、永住ビザとその他のビザ申請では、申請時のあて名及び許可主体(許可をする者)が『法務大臣』か『地方入国管理局長』かで異なるのです。

 

ちなみに、許可のみならず不許可主体も同様に異なります。

下記「不許可通知書」に記載のとおり、変更(上)は地方入国管理局長、永住(下)は法務大臣の名で処分がされています。

 

 

 

それでは、なぜこのような取扱いの違いが生じているのでしょうか?

以下にその理由を探っていきましょう。

 

ビザ手続きはすべて入管法令(入管法や法務省令等)で規定されていますので、まずは入管法の規定を確認する必要がありそうです。

先に見た在留資格変更に係る条文を参照してみましょう(下線太字引用者)

 


(在留資格の変更)

第二十条 在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格(これに伴う在留期間を含む。以下第三項まで及び次条において同じ。)の変更(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号イからハまでに係るものに限る。)を有する者については、法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更を含み、特定活動の在留資格を有する者については、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動の変更を含む。)を受けることができる。

2 前項の規定により在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留資格の変更を申請しなければならない。ただし、永住者の在留資格への変更を希望する場合は、第二十二条第一項の定めるところによらなければならない。

3 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。


 

あれ、おかしいですね…。

条文では地方入国管理局長ではなく、『法務大臣』に対して申請するとされています(2項)。

また、許否の判断主体も地方入国管理局長ではなく、『法務大臣』のようです(3項)。

ちなみに、在留期間更新(21条)や資格外活動許可(19条2項)等も同様に法務大臣となっています。

 

はて、、

永住ビザ申請の条文はどうでしょうか?

 


(永住許可)

第二十二条 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

2 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。

一 素行が善良であること。

二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

3 法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人に対し在留カードを交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該在留カードの交付のあつた時に、その効力を生ずる。


 

こちらもやはり宛て先、許可主体ともに『法務大臣』となっていますね。

このように、法律の条文上はどちらも『法務大臣』となっているのに、どうして先述のような違いが生まれることとなったのでしょうか?

 

★その理由は、入管法上、法務大臣の権限の一部が地方入国管理局へ委任されているからです。

※「委任」(=権限の委任)とは、行政庁がその権限の一部を他の行政庁に委譲すること。権限の委任があったときは、受任機関が自己の名と責任においてこれを行使する

 

先に見たとおり、本来は(条文上は)原則としてすべてのビザ手続きについて、法務大臣が自ら、その名において審査・処分をしなければなりません。

しかし、日々膨大な数のビザ申請が行われるなかで、そのすべての事案について法務大臣が主体的に審査することは現実的ではありません。

そこで、法務大臣の各種権限の行使に係る事務処理の合理化を図るため、法務大臣の権限を地方入国管理局長に委任することができることとしたのです(69条の2)。

 

したがって、上記の在留資格変更や在留期間更新等の場面については、その権限が法務大臣が地方入国管理局に委任されているため(入管法施行規則61条の2)法務大臣ではなく地方入国管理局長があて先であり、許否の判断主体となっているわけですね。

 


 

 

それでは、なぜ永住ビザ申請はその権限が地方入国管理局長へ委任されなかったのでしょうか?

言い換えれば、なぜあて先や許否主体が『法務大臣』のままとなっているのでしょうか?

 

★ここに永住ビザの特殊性を裏付けるミソが隠されています。

 

なぜ永住ビザは法務大臣あてに直接申請し、法務大臣が直接許可・不許可処分を行うのか。

その理由は、永住許可については、「申請を行った外国人の永住が日本国の利益に合するか否かという高度な判断が求められ、こうような判断は、法務大臣の責任その名においてのみなすべきものである」と考えられているからです(実務六法)

 

永住ビザについての審査は、いわば入管として外国人の在留に関する最終の審査になることから、他のビザとは比べ物にならないほど、厳格かつ適切に行われる必要があります。

だからこそ、永住ビザについては、地方入国管理局長任せにせず、法務大臣が自ら責任をもって判断しているわけですね。

実際の審査実務上も、永住ビザ申請案件については、『全件本省進達として扱われています(審査要領)

そのため、永住ビザの申請書類は、全国どこの入管に提出しても、原則としてすべて東京の法務省(本省)に送られ、法務大臣の名において審査・処分がされることになっています。

※「進達」とは、下級の機関から上級の機関に一定の事項を通知し、又は一定の書類を送り届けること。

 

このように見てみると、永住ビザの特殊性や重要性が改めて理解できるものと思います。

 

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