【実務】入管における審査プロセス

  • 2018.05.17 Thursday
  • 10:00

前回のエントリーで予告したとおり、今回は入国管理局における具体的な審査プロセスについて解説いたします。

この審査プロセスは永住ビザに限らず、基本的にすべての在留資格に共通していますので、流れを理解しておくことで申請する側の心構えが備わるのではないかと思います。

 

さっそくみていきましょう。

 


 

 

【1】基調調査

申請が受付されると、申請内容や申請人の状況に応じて、審査の参考となる資料(たとえば、過去の申請資料や届出情報等)を抽出します。もし管轄が異なる場合(たとえば、前回は大阪入管管轄、今回は東京入管管轄等の場合)は、当該地方局等の長に対して資料の送付を依頼します。ただし、立証資料等により在留資格該当性及び基準適合性が明白であり、かつ、在留状況に問題がないと認められる場合は、これら資料の到着を待たずに処分を行うことができるとされています。

 


 

【2】受け付けた案件の振分け

申請受付後、所要の電算処理を行った上で、速やに『振分け担当者』が案件の振分けを行います。

具体的には、状況に応じて下記のとおり4つの分類に振り分けられます。

 

案件》許可(交付)相当の案件

案件》慎重な審査を要する案件(いわゆる慎重審査案件)

案件》明らかに不許可相当の案件

案件》資料の追完を要する案件

 

※詳しくは以前のエントリーをご参照ください。

 


 

【3】実体審査

上記【2】で案件を振り分けられた担当審査官が審査を行います。

具体的には下記プロセスで審査が進められます。

また、必要に応じて実態調査(家庭・職場訪問等)が行われます。

 

 

〇実認定

それぞれのビザには要件(法令上の条件)が規定されています。審査では、個々の事案がそれらの要件に適合するかが判断されるのですが、その前提として、当該要件に当てはまる事実の存否が問題となります。そのため、前提となる事実の把握(=事実認定)が客観的・公正に行われることが審査において何よりも重要であるとされています。

事実認定は、具体的に下記要領で進行されます。

 

(1)立証資料(書類)による事実認定

(2)実態調査による事実認定

(3)蓄積した情報による事実認定

(4)社会通念・常識による事実認定

 

(2)〜(4)からわかるように、審査(事実認定)は提出した書類だけで行われるわけではありません。提出する書類を適正に作成することはもちろん重要ですが、(3)にあるように入管が既に掴んでいる情報との整合性も問われてくるのです。私たちが過去の申請経緯や申告内容との齟齬に注意を払うのはそのためです。

また、上記のなかでも興味深いのは(4)です。(1)から(3)までの事実認定に際して、判断に迷うことがあれば、入管も最終的には“世間一般の常識”に沿って判断しているということがわかります。

いくら法令に規定がないからといって、あまりに非常識な判断をされたらとても納得できませんよね。この点は、裁判官についても経験則・論理則(平たく言えば常識)に反する認定は法令違反とされることがあるという点と通底しているように思います。

 

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前記のようにして事実を確認した上で、最後にその事実を法律・規則等に当てはめるのが審査の仕上げです。

なお、入管の内部基準である審査要領(第1編第2節)には、「行政処分については、法令が明示する要件以外の要件は一切あり得ない」と明記されています。

入管実務を行う上で、法令の知識や正確な解釈がいかに重要であるかを再認識させられます。

 

処分

上記´△侶覯漫⇒弖錣謀合していると判断された場合は『許可(交付)』処分を、不適合と判断された場合は『不許可(不交付)』処分がなされます。

処分(行政処分)は必ず法令の明文の規定に基づき行われなければならず、特に不利益処分(不許可等)を行うにあたっては、法令の定めるいずれの要件に適合しないのかについて、正確な事実認定に基づいて判断した上で、申請人に対しても理由(どの要件に適合しないのか)を明示しなければならないとされています。

処分の結果によっては、申請人の人生を大きく左右することになるわけなので、それだけに正確さや慎重さが求められるわけです。

 


 

【4】事案概要書等の作成

所要の審査を終えたときは、当該案件を担当する入国審査官は、認定した事実及び審査上の留意点等を踏まえ、これらに基づく措置方針を記載した事案概要書(下記)を作成の上、起案するとされています。そして、最終的には決裁者がこの事案概要書の記載等を踏まえて総合的に判断し、決裁を行うことで処分が決定することとなります。

 

なお、不許可(不交付)処分の際も上記事案概要書が作成されるのですが、私たち行政書士が申請人に代わって不許可(不交付)理由を当局にてヒアリングする際、説明を担当する審査官も多くの場合この事案概要書を手にしながら説明を行っています(ただし、私たちが直接この書類を閲覧することは原則認められません)。

 


 

以上、審査プロセスの概要をご説明しました。

 

私たち行政書士は、プロとして依頼を受けて申請をお手伝いしています。

そのため「申請したらそれでおしまい、あとは審査官の判断にお任せ」では、あまりに無責任です。

実際に審査官がどのように事件を処理し、どのような方針のもと何を拠り所として審査を進めているのか、その全過程を先回りして依頼人の利益につながるように最大限アシストすることが、私たちの使命であり、存在意義であるはずです。

 

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