【要点整理】改正入管法案の概要

  • 2018.11.13 Tuesday
  • 13:58

今月2日に改正入管法が国会に提出されましたが、委員会審議を経て、本日(13日)、衆院本会議で審議入りします。

実際の改正案は既に公表されています。

そこで、以下、改正入管法のポイントを整理するとともに、簡単な解説(コメント)を添えたいと思います。
注:改正案はまだ国会で審議中で、成立したわけではないため、下記はあくまで現時点(仮)の見通しである点に留意ください。

 

1、目的に関する規定の整備

入管法の目的(1条)として、「本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図ること」が追加されました。現行法は「本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする」とあるのみなので、「在留」に言及するものではありませんが、在留外国人が256万人を突破した今、「出入国」のみならず、「在留」も焦点化するのは自然な流れですし、実態にも沿うと思われます。


 

2、出入国在留管理庁長官の権限に関する規定の整備

現在の法務局入国管理局から、外局として独立する形で「出入国在留管理庁」が新たに設置されます(改正法務省設置法)。それに伴い、同庁の長として、出入国在留管理庁長官という官職が誕生し、主任審査官の指定等の職務を担うことになります。
あらゆる条文の主語(主体)が法務大臣から出入国在留管理庁長官に変更されていることからも、与えられる権限の大きさをうかがい知ることができます。

 

3、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針等に関する規定の整備
本改正により、新たに「特定技能」ビザが生まれるのですが、政府は、同ビザに係る制度の適正な運用を図るため、基本方針を定めなければならないとされています。基本方針の案は法務大臣が作成し、閣議決定を経て公表されます。
また、法務大臣は、上記基本方針にのっとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野を所管する関係行政機関の長並びに国家公安委員会、外務大臣及び厚生労働大臣と共同して、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以 下「分野別運用方針」という。)を定めなければならない。つまり、基本と分野別という二重構造で方針が作成されるようです。

 

4、特定技能雇用契約等に関する規定の整備
特定技能ビザを取得しようとする外国人が日本の企業等との間に結ぶ雇用契約については、法務省令で定める基準に適合する必要があります。具体的には、下記事項が適切に定められている必要があります。
⑴特定技能雇用契約に基づいて当該外国人が行う当該活動の内容及びこれに対する報酬その他の雇 用関係に関する事項
⑵⑴に掲げるもののほか、特定技能雇用契約の期間が満了した外国人の出国を確保するための措置 その他当該外国人の適正な在留に資するために必要な事項
その他、雇用者(会社等)は特定技能外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(「一号特定技能外国人支援計画」)を作成する必要があり、その計画の適正な実施や、雇用契約の適正な履行が確保できるよう、法務省令で定める基準に適合しなければならないとされています。

 

5、上陸の手続きに関する規定の整備
特定技能ビザの上陸の申請(在留資格認定証明書交付申請)にあたっては、上記「一号特定技能外国人支援計画」が所定の規定の適合するものであることも審査しなければならない旨も追加されました。
★ここで注目すべきは、受け入れ停止についても規定されていることです。特定産業分野(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に規定する特定産業分野をいう。以下同じ。)を所管する関係行政機関の長は、当該特定産業分野に係る分野別運用方針に基づき、当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対し、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとることを求めるものとし、法務大臣は、この求めがあったときは、分野別運用方針に基づき、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとるものとするとされています。また、法務大臣は交付の再開措置もとることができます。

 

6、届出に関する規定の整備
特定技能ビザを有する外国人は、契約の相手方である本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結が生じたときは、当該事由が生じた日から十四日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければなりません。
★ここで注目すべきは、特定技能所属機関(つまり、雇用者)について、届出義務が強化されている点です。具体的には下記事項について長官に対して届け出なければなりません。
⑴特定技能雇用契約の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき。
⑵一号特定技能外国人支援計画の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき。
⑶四の3の契約の締結若しくは変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、又は当該契約が終了したとき。
⑷⑴から⑶までに掲げるもののほか、法務省令で定める場合に該当するとき。
上記のほか、下記事項も届出義務とされています(一般的な就労ビザとの大きな違いです!)
⑴受け入れている特定技能外国人(特定技能の在留資格をもって本邦に在留する外国人をいう。以下同じ。)の氏名及びその活動の内容その他の法務省令で定める事項
⑵適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況(契約により九の登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)
⑶⑴及び⑵に掲げるもののほか、特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項
★この届出義務に違反した場合は、罰則規定(71条の4第1号)が適用されるため注意が必要です。

 

7、特定技能所属機関に対する指導及び助言等に関する規定の整備
出入国在留管理庁長官は、所定の事項を確保するために必要があると認めるときは、特定技能所属機関に対し、指導及び助言をすることができるとされています。あわせて、必要な限度において報告や書類の提出・出頭を求めることができ、入国審査官等に質問や立ち入り検査をさせることができます。その結果、問題があると認められる場合には、改善命令がなされます。

 

8、特定技能所属機関による一号特定技能外国人支援等に関する規定の整備
特定技能所属機関は、適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、一号特定技能外国人支援を行わなければなりません。

 

9、登録支援機関に関する規定の整備
契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」 という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます。
登録を受けた者(登録支援機関)は、委託に係る適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、支援業務を行わなければならず、法務省令で定めるところにより、支援業務の実施状況その他法務省令で定める事項を出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません。その他、登録の取消しや届出等について規定されています。

 

10、在留資格の変更に関する規定の整備
特定技能の在留資格を有する者については、在留資格の変更に、法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野の変更を含むものとされています。
★つまり、現行法上の「高度専門職1号」と同様に、転職の際にも変更申請が必要ということです。

 

11、関係行政機関との関係に関する規定の整備
出入国在留管理庁長官又は入国者収容所長等は、出入国及び在留の管理並びに難民の認定に関する事務の遂行に当たり、当該事務の遂行が他の行政機関の事務に関連する場合には、関係行政機関と情 報交換を行うことにより緊密に連絡し、及び協力して行うものとされています。

 

12、罰則等の整備
上記6で一部言及したとおり、この法律の規定に違反した者について、新たな罰則規定等が設けられます。

 

13、別表第一の整備
新たに「特定技能」の項を加え、特定技能の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動として下記活動が規定されます。
【一号】
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野 (人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産 業上の分野として法務省令で定めるものをいう。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
【二号】
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動
それに伴い、「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動にも、別表第一の二の表の「特定技能」の項の下欄第二号の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動が追加されます。

 

14、その他所要の改正を行うこと
表記の調整等が行われています。

 

以上、概要を整理してご紹介しました。

上記の規定のされ方からわかるように、方針や要件等、本質的部分に関しては、基本的に法務省令に委任されているため、法案だけだと具体的なイメージがわかないのが率直なところです。

今回の法改正の大きな問題のひとつは、まさにこういった規定のされ方にあるのですが、来年4月の施行を目指すのであれば、今国会でまずは大枠だけでも決めておきたいのでしょう。

今国会の会期は12月10日までです。果たして上記内容で可決成立するのか、審議の行方を見守るほかありません。

 

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